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[小島慶子さん×中野円佳さん対談 第3回] 完璧ママは目指さなくていい! 家事代行なども上手に利用 

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元TBSアナウンサーで、現在はタレントやエッセイストなど、マルチに活躍されている小島慶子さんと、女性活用ジャーナリスト/研究者で、 2人目妊娠中の中野円佳さん(11月初旬に出産)。料理や部屋の掃除など、完璧を目指すとママも子どもも大変。旦那さんとの分担のしかたや、家事代行の利用など、肩肘張らずに頑張れる方法を語ってもらいました。

 

中野さん:夫は一人暮らしが長かったので家事は一通りできるんです。私は料理が好きではなくて、できるだけやりたくないのですが(笑)、夫は「料理が趣味」というほど。結婚してからずっと、休日は夫が家族の食事を3食作ってくれてとても助かっています。

ただ、離乳食って少し特殊ですよね。野菜と白身魚しか食べられない時期があったり。それを夫に言うと、白身魚は用意してくれてるんだけど、他のものが食べられるようになってもいつまでも子供用に出てくるのは茹でただけの白身魚のままだったり…。大人向けにカルパッチョのような料理を作り、子どもに取り分けられないということもよくあります。ことあるごとに伝えていかないと、自分で成長段階にを調べたりして臨機応変には対応してくれない。

 

小島さん:数学の公式みたいに、ひとつ覚えたら他の問題にも当てはめて欲しいのに、男性ってその都度言わないとわからない、ってありますよね。不思議と。

 

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中野さん:私は料理してもらっている身なので文句は言えないのですが、「このレパートリーで子どもは何を食べるわけ?」ということはときどきあります。彼にとって料理は趣味なので、自分が作りたいものを作るんです。新聞や雑誌の「今週の料理」に紹介されているものや、料理本などを見て、けっこう手の込んだ料理を作ってくれますが、冷蔵庫を見てありもので作るわけじゃないので、その料理にしか使えない珍しい調味料を買ってくるような料理の仕方(笑)。

 

小島さん:私もやったことあるある、二度と使わないんですよね(笑)。私の夫も一人暮らしが長かったし、夫のお父さんがお皿洗いなどをする人だったようなので、家事には抵抗感がないですね。料理は、達人ではないけど一通りのものは作れるという感じ。でも最初は、私が作っていたんですよ。ところが、うちの子は2人とも食が細くて、食事中も喋ったり考えたりで食べるのがとにかく遅い。私はもともと料理が好きではなかったんですが、美味しくないものを食べさせたくないので、わりと入魂して作ってたんです。なのに、だらだらと食べて残されると大変腹が立ち…(笑)。「私はこれを作るのに40分かかりましたが…」と毎日恩着せがましく言いたくなっちゃうんです(笑)。そうなると、毎日お母さんに恩を売られる食卓ってイヤじゃないですか。ある意味虐待になりかねないと思って、夫にお願いしたんです。「私が恩着せがましく料理をするより、家庭の平和のためにお願いできない?」って。それ以来、5年くらい前から、食事は夫が作ってくれています。

 

中野さん:えー! すごい。

 

小島さん:でもね、最初は私も自分自身を責めました。雑誌を見ると「母さんの料理は愛情のバロメーター」みたいなことが書いてあるじゃない? まず料理が好きじゃないことで自分を責めたけど、夫にはそういう先入観はなかった。「食事くらいでそんなに悩むなら作らなくていいんじゃない?」って言ってくれました。

 

中野さん:旦那さんの先入観がないのはいいですよね。夫は平日ほぼ家にいないのですが、私が部屋を散らかしていても何の文句も言わないのがすごく助かっています。もし言われたら、夫への怒りに自責の念も相まってすごく辛いと思うので。

 

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割り切って家事代行などを使ってもいい

小島さん:こちらが気にしすぎているのもあるよね。私は卑屈に「こんなに忙しくて料理もできない女と結婚してホントお気の毒! 結婚してひどい目に遭ったとかどうせ思ってるでしょ」なんて言ってしまう。そんな時に夫から「あのね、思ってもいないことで叱責されるのってすごく理不尽。完全な言いがかりだし」と言われ、本当にその通りだと思いました。だけど今でも自分を責めて、ときどき出ちゃう。本当はお料理をしてあげられるお母さんの方が良かったんじゃないか、って。

 

中野さん:私は自分の実家が近いので、親を頼りがちで…。送り迎えは基本的に私が行けないときだけお願いしますが、夕飯を全面的に甘えていました。でも「この年齢になってもなお、親に頼らないと生活が成り立たないなんて」と、知らず知らずのうちに親に頼りすぎていることにストレスが溜まっていたみたいで…。先月、両親が旅行に行くというので、できるだけ期間を長くしてもらって頼れない状況を作り、自分たちで何とかやりくりしました。家事代行などを使いながらも、「自分でできる」ということが確認できたら、そのほうがストレスは減る面もあることに気づきました。夫も「実家に頼めば」とならないので、やってくれるし。

 

小島さん:それは気づいて良かったですね。私も月2回、家事代行を使ってお掃除をしてもらっていましたよ。最近はお仕事をしているママでも「5時に起きてキャラ弁作りましたー」なんてブログにアップしたりしているでしょう。雑誌にもよくそういう記事が出ているし。第一子の時にはそれを真に受けちゃいますよね。「これが普通なの? 私は全然できてない!」って、自信をなくしてしまう。でも、そういうのを全部信じることはないんじゃないかな。第2子になると、「とりあえず生きていればいい」みたいに、基準がぐっと下がりますよね。

小島慶子

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1972年、オーストラリア生まれ。1995年、TBSにアナウンサーとして入社。2010年にTBSを退社以降、現在はタレント、エッセイストとして活躍。中1と小4の男の子のママ。夫の退職を機に、生活の拠点をオーストラリア・パースに移す。著書にエッセイ『大黒柱マザー』(双葉社)、小説『わたしの神様』(幻冬舎)など。

 

中野円佳

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女性活用ジャーナリスト/研究者。1984年生まれ、東京都出身。東京大学教育学部卒業後、新聞社に入社。育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に通い、提出した修士論文を『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)として出版。2015年に新聞社を退社後、株式会社チェンジウェーブにて企業のダイバーシティ推進を手がける。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

撮影/大久保聡 スタイリング/鈴木由里香[中野さん] ヘアメイク/松田美穂(アルール)[小島さん]、得字マキ(ヌーデ)[中野さん] 構成/相馬由子 取材・文/栃尾江美(アバンギャルド)

 

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