昨年3月26日に第一子を出産した弁護士の大渕愛子さん。今回は、緊急帝王切開での出産体験や、産後の夫婦関係をうまくいかせるコツについてお話ししていただきました。
予定日の2週間前に突然の破水。赤ちゃんの心拍が低下し緊急帝王切開へ
私の出産は破水からのスタートでした。
予定日の2週間前、早朝急に目が覚めて、シーツが濡れてることに気づいたんです。すぐに夫を起こして病院に連れていってもらいました。私の場合、妊娠後期になっても赤ちゃんがなかなか下がってこなくて、予定日よりも遅れるだろうと言われていて、のんびり構えていたので、予定日よりだいぶ前に破水することになるとは完全に予想外のことで驚きました。
そのまま入院して陣痛が来るのを待つことになりました。夕方頃からだんだん痛くなってきて、夜になると悶えるような激しい痛みに。でも、破水から20時間ほどが経過しても、なかなか子宮口は開いてくれませんでした。
そうこうしているうちに、突然、看護師さん達が慌てふためいて部屋に入ってきたんです。なんだか赤ちゃんの心拍が下がっているとか。急に呼吸器をつけられたりして、はじめは何が起きたのか把握できませんでした。赤ちゃんの状態を自分で体感することはできないけど、心拍を計る音が不規則に途切れるのが聞こえてきてすごく怖かったです。「もしかして手遅れなのかな…」なんて思ったくらい緊張に包まれた瞬間でした。
そして、夜が明けて、医師から「これ以上自然分娩を待っていると赤ちゃんに負担がかかるかもしれない」と言われたので、帝王切開を決断したんです。
とにかく早く赤ちゃんを出してあげたい!帝王切開で無事に生まれ大号泣!
その時まで、一晩中陣痛に耐えていたし、当然自然分娩するものだと思っていたので、急に帝王切開と言われて正直戸惑いはありました。だけど、心拍が下がったりする時点で、赤ちゃんは相当苦しい思いをしているだろうし、とにかく早く外に出してあげたいと思ったので、決断はほとんど迷わなかったです。
手術で赤ちゃんが取り上げられると、看護師さんが「ママにチューしましょ」って私の頬に赤ちゃんの唇を押し当ててくれました。もう安堵と感謝の気持ちで胸がいっぱいになって大号泣。産まれた瞬間を今思い出しただけでも泣きそうになります。無事に生まれてくれて本当に嬉しかった。廊下で待っていた夫もぎゅっと手を握ってくれました。
術後は傷口と子宮伸縮の痛みが辛かったです。痛み止めを飲んでもあまり効かなくて、座薬を入れてやっと楽になりました。でも、今となっては壮絶だったはずの痛みも不思議とあまり思い出せないんですよね。「出産の痛みは忘れてしまうもの」ってよく言うけど、本当なんですね。
家の中がまるで戦場!夫婦がぶつかりあった最初の1ヶ月
退院後の1ヶ月間は、家の中が戦場のようでした。夫のことも根拠なく憎らしくなるというか…。ホルモンの影響なんですかね?夫は悪くないし、育休までとって一生懸命やってくれてるのはわかってるのに、ちょっとしたことでイライラしてしまうんです。それはお互い様で、夫もそんな私のことが憎かったと思いますけどね(笑)。
自分の体もまだ痛くて起き上がれない中で、夜中2時間おきにミルクを飲ませてやっと寝かせたと思ったらすぐまた泣くっていう繰り返し。私がおっぱいをあげる、夫がミルクを作ってあげる、という役割があるんですけど、そのタイミングがずれたりすると、またそれでイラっとしてぶつかりあっちゃう。「あれやって!」とか「これ片付けて!」とか、互いに細々したことを要求しあうばかりの状況になっちゃって、いたわりあう余裕が全然なくなっていたんですね。
でも、もともと夫とは「2人で力を合わせて育てよう」と決めていたんで、大変だったはじめの1ヶ月も、実家に帰らず夫婦二人で乗り切りました。それは今となってもやってよかったと思ってます。「あの時は本当に大変だったよね。お互い殺意があったよね〜」って笑って話せるし、あの経験が2人のきずなにもなっています。
喧嘩しても根に持たない!長引かせないのが夫婦のルール
お互いに細々したことを要求しあって険悪になる状況は、結局今に至っても変わってないです(笑)。でも、一瞬険悪になっても、またすぐ相手を頼らなくちゃいけない場面が出てくるから、そういう感情をいつまでも引きずってはいられないんですよね。
もともとお互いあまり根に持たない性格なので、「まあいっか」ってすぐに切り替えるようにしています。一瞬ぶつかっても、その場で言いたいことを言い合って「ハイ終わり」。それ以上突き詰めない。2人の性格を冷静に分析したうえで、喧嘩した時にどう対処したらいいか事前に話し合っているので、あまり長引かせないようにお互い意識しているんです。
産前産後で夫との関係はかなり変わったと思いますが、大事な人であることには変わらないです。結婚前は「私のことをすごく大切にしてくれる人」だったけど、今は「子どもにとっての大事なお父さん」という面の方が強いかな。私はあまり大切にされなくなったような…(笑)。でも、時にはぶつかることがあっても、育児をがんばってくれているし、夫婦で協力し合えているので、今はそれで十分だと思ってます。夫には本当に感謝ですね。
大渕愛子さん
1977年8月12日生まれ。A型。東京都出身
2001年弁護士登録。東京弁護士会所属。アムール法律事務所の代表弁護士。大手法律事務所での9年間の実務経験を経て、2010年1月に独立。事務所内に「ウーマンズサロン」というカウンセリングルームを設け、男女問題を中心に、女性からの相談を幅広く受けている。
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