東日本大震災を体験しました。
発生当時、子どもをベビーカーに乗せ、駅ビルのエレベーターの中にいました。
「最寄りの階に止まります。速やかに降りてください」みたいな自動アナウンスのあと、すぐに止まってドアが開きました。
エレベーターを降りたちょうどそのとき、地震の揺れを体で感じて気が付きました。
直後に猛烈な揺れで、立っていることも困難な状態になりました。
ファッションビルの3階で、ガラス張りのショーウインドーや照明器具などが壊れる音。
天井が落ちたり、商品ワゴンが走ったりするなか、みんな逃げまどいました。
非常口を目指して走りつつ、大きな柱のそばでベビーカーから子どもを降ろして抱きかかえました。
大きな柱のそばは壁にも天井にもなにもなく、ほかよりも若干安全そうでした。
ベビーカーのままでは非常階段は下りられないし、余震のなかの移動で他の人も手をかす余裕はないと思います。
ベビーカーの背あてで子どもの頭をくるみ、非常階段が解放されるまで待ち、余震の続くなか、非常階段を下りて家まで走りました。
建物内も外も、とにかく落下物の多さ!
服でもタオルでも、子どもの露出箇所を極力なくすようにしました。
ベビーカーと駐車場の自家用車はそのまま残してきました。
次男を近所の方にお願いして、幼稚園の長男を迎えに行き、必要と思われるものをリュックなどにつめて、徒歩で避難所へ移動しました。
いつも使っている抱っこひもはベビーカーに置いてきてしまいましたが、家に予備の抱っこひもがあったので、とても助かりました。
近所の方は普段は挨拶程度のお付き合いですが、それでも顔見知りになっておくといざというときにお互い快く助け合えるのだと思いました。
避難所は、色々な年代の人であふれかえっていました。
暗くなってくると、不安がいっそう増し、あちこちで乳幼児の泣く声や騒ぐ声が聞こえるようになりました。
そして、時間がたてばたつほどそれにイラつく人も出てきました。
夜間、夜泣きする赤ちゃんや不安から泣き出す子どもを、やむなく小雪の降る避難所の外であやす人もたくさんいました。
他にも、興奮して大声を出してしまうお子さんのご両親も、外で過ごされていました
翌日になるとなんとなく乳幼児を連れた保護者が集まるようなかたちになり、話しているうちに、避難所の一角を乳幼児や小さな子どものいる家庭専用にしてもらおう。という流れになりました。
誰もが大変な避難生活、お互いにイライラしないで過ごすために、乳幼児や子ども専用の一部屋を設けてもらうと、泣き声などにも遠慮せず過ごせるし、支援物資の受け取りなども協力し合えてよかったです。
避難してきた乳幼児をかかえる家庭ではどこも、ミルクや離乳食、おむつは全くなく、とても困りました。
支援物資は、私たちの避難していた場所ではわりと早い段階でミルクとおむつが届きましたが、避難所によっては、何日も届かないところがあったそうです。
ミルクの届かないところでは、スーパーの炊き出しのお米から重湯を作って飲ませたり、母乳のお母さんからもらい乳をしたそうです。
支援物資は避難所によって届き方に差がある。
知り合いと連絡をとったり、掲示板を利用して必要なものを交換し合うなどして、手に入れなければなりませんでした。
避難所によっては、そこに避難している人にしか配らないところもあるので、気を付けたほうがいいと思いました。
避難所指定ではなく、広域に支援してくれる会場などもあったので、情報の共有は大切です。
また、支援物資の受け取りは、子どもをかかえたままでは大変なので、お互いに子どもを預けたり、交代で運びあったりしました。
哺乳瓶は洗えないので、紙コップなどで代用しました。
このあと、主人に半壊の家に入ってもらい、備蓄していた食料、ミルク、おむつ、子どもの着替えなどを持ち出してもらいました。
ミルクもおむつも、あまり買い置きをしていなかったので、すぐに使い切り困りました。
やはり最低1週間分くらいは買い置きが必要だと実感しました。
ただし、小さい月齢の赤ちゃんだとすぐにおむつのサイズが変わるので、買い置きをするといっても難しいところなのですが…。
3日目、4日目
水道の復旧もまだで、支給される水を節約していましたが、何人かの赤ちゃんにおむつかぶれが!
みんなおしりふきも無くなりそうで、おしっこのあとに、ちょっとおむつを外しておしりを乾かしました。
内陸の避難所にもボランティアが入るようになり、ちらかった避難所の掃除が始まりました。
ほこりが舞い上がり、気管支の弱い子などの健康が心配になってきました。
5日目
自衛隊の支援がきました!
おむすびの支給と、お湯を沸かしてもらえたことがとても嬉しかった。
お湯がつかえることになり、子どもたちの衛生面に遠慮なく配慮できるようになりました。
おしりふきがなくても、水やお湯とタオルで清潔に。
代謝のよい小さな子どもほど、すぐに汚れるし、避難所自体が汚いので良かったです。
おしりふきや大人ようの清浄綿の支給もありましたが、アルコールが入っていて、かぶれる子もいるので注意が必要でした。
水の配給なども始まりましたが、雪の降る中、何時間も待ってもらう状況でした。
交通手段もなく、長時間かかったりするのでボランティアさんの手を積極的に借りた方がいいです。
季節によっても、災害によっても状況は違うと思いますが、乳幼児や小さな子どもをかかえての被災は一段と大変です。
水、ミルクや薬など命にかかわる必要なものは、常にストックして、持ち出せるようにしたいです。
プラスして、危険や外気温から身の安全を守るもの(赤ちゃんなら、厚めのタオルなどでも)、抱っこひも、清潔を保てるためのもの(身体だけでなく、哺乳瓶の消毒をする薬液など)、新聞紙などが最低限あれば、大きな支援の手が入るまで、どうにか持ちこたえられるかと思います。
あとは、いかにストレスなく過ごすか。
避難場所に余裕があれば乳幼児だけの一角は絶対に必要だと強く思いました。
著者:ことりとうみ
年齢: 35歳
子どもの年齢:4歳3ヶ月
ガーデニングの好きな専業主婦です。災害ボランティアに興味があり、子どもがもう少し大きくなったら勉強したいと思っています。
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。