妊娠健診に付き添った話です。
妻はいままで二児を出産。ぼくは、その両方の妊婦健診に同行してきました。
当時を振り返って、まず思い出すのは、産婦人科のたたずまい。
男性にとってはアウェーな場所です。
ピンクやフリルといった過剰に女性的なデザインは近年控えられつつありますが、それでも診察受付機や産院のグッズなどところどころにピンク色が潜んでおり、やさしい印象を与えるとともに男性には近寄りがたい雰囲気になっています。
実際、待合室では男性の多くが手持ち無沙汰な印象で、かつ高めのテンションになりがち。スマートな立ち振る舞いができず、ウロウロしたり、逆にドンとソファに座ってしまったり……そんな光景をしばし目にしました。
待合室のソファは妊婦に譲るもので、付き添う夫は腰を掛けないように心掛けるべし、なんですよねえ。
いま冷静な気持ちでいるぼくも、たぶん現地では舞い上がっておかしな行動していたかもしれないので、自戒を込めてですが……。
診察室にも同行したのですが、内診は同席できませんでした。
エコー検査も初期の経膣法の際は同席できず、あとからモニター画像を見せてもらうという対応でした。(内診も同席できる産院もあるようです)
エコー検査って、お腹の上から器具をあてるものだとばかり思っていたぼくにとって、妊娠初期は股間から器具を入れてエコー検査を行うという事実に、ショックをけっこう受けました。
あらためて出産に臨む女性たちの大変さを知り、自分でも不思議と「味噌汁くらいは自分で作れるようになろう」と思い、医師の話を聞いている間は、ずっとお椀を想像していました。
医師の顔を見るのを、ぼくは恥ずかしかったのかもしれません。
当然なのでしょうが、どの検査にも前述のように肉体的な負担があります。
そのことを分かっただけでも付き添いの価値はあると思いました。
もちろん、赤子の心音を聞けたことやだんだんと人の形になっていく姿など、感動するできごとはいくつもありました。
なんといっても、妻のおなかが、赤子の大切な居場所になっていく様を医学的なサポートの下で可視化されていく日々は、保健の授業で習ってきたような理屈をこえた「凄み」があります。
男性が出産までの詳細を知っておく必要性はさほどないのかもしれません。
でも、写真では小さな点にすぎない受精卵状態から始まって、昼寝中の魚みたいな形態を経て、はっきりと「人だなー!」と分かってくる一連の成長をリアルタイムで体験してきたことは、ほかの出来事ではなかなか代えがたく、また、その後の育児参加へのモチベーションにも大きく寄与していると思っています。
診察室のエコー検査器のモニター越しに動く赤子を初めて見たときの、なんといいがたい不安感や「バクバクバクバクバク」とすごく早い心音を聞いたときの驚き、性別が判明したときの我ら夫婦のリアクション……
そういった些細な出来事とそのときの気持ちを、いつか息子たちに話したいと思っています。
「おれは、君が魚だった頃から見ているのだぞ」
という具合に、人から目線でアピールしたいですね。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:zanbottosan
年齢:44歳
子どもの年齢:2歳、7歳
@kobeniの夫です。「非コミュ男子×育児」という相反するテーマにとりくむアラフォーです。
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