妊娠・出産・育児の情報サイト


【医師監修】授乳中の検診は?セルフチェックは?小林麻央さんの報道で高まる乳がんへの関心。産科医・竹内先生に伺いました

f:id:akasuguedi:20160614223140j:plain

女性の罹患率が年々上昇している「乳がん」。40歳以上で罹患率が上がると言われていましたが、近年では若い世代に発症するケースも少なくないようです。

先日、小林麻央さんが乳がん闘病中であることが発表されました。小林さんは33歳と若く、お子さんも小さいことから、「乳がん検診を受けたことがない」「セルフチェックもしたことがないし、やり方が分からない」「授乳中だとがんの進行が早いって本当?」と、多くのママたちから不安の声が上がっています。

授乳中や産褥期は、胸も張っていて、いつもとは違う状態。どのように検診を受け、セルフチェックはどうしたらよいのか、産科医の竹内正人先生に伺いました。


授乳中の乳がん検診は「超音波検査」がおすすめ

授乳中などの乳がん検診は、受けられないということはありません。ただ、授乳中は乳腺が発達しているため正確な診断がでないこともあります。

特にマンモグラフィー検査では、腫瘍ができていても見つけにくくなります。また、張っている乳房を挟んで撮影することで痛みも増すので、授乳中は超音波検査(エコー検査)がおすすめです。

 

乳腺炎と間違われやすい「炎症性乳がん」に要注意!

妊娠中や出産1年以内に診断された場合乳がんを「妊娠・授乳期乳がん」と呼んでいます。この時期に乳がんを発症する頻度は、乳がんのうちの0.2~.3.8%と、確率は低いものになります。産褥期に乳がんがみつかることは、さらに稀なケースです。

授乳中だから乳がんの進行が早くなることはなく、進行速度は乳がんのタイプによると考えられています。

乳がんは、しこり(腫瘤)をつくる通常型の乳がんと、胸の皮膚に発赤があらわれ、しこり(腫瘤)をつくらない炎症性乳がんがあります。この炎症性乳がんの場合、乳腺炎と間違いやすいので注意が必要です。

しこり(腫瘤)をつくる通常型の乳がんは、産褥期に早期に発見することが困難なこともあり、予後が不良となることがあるとも言われています。

 

2年に一度くらいの頻度で検診を!

費用は、超音波検査(エコー)もマンモグラフィー検査も各5000円くらいになると思います。(※病院により異なります)両方の検査を受けることも可能です。近くの医療機関に、事前に電話して確認するといいでしょう。

超音波検査で何か異常が見つかった場合は、MRIやCTを撮ってみましょうという話になると思いますが、その場合は保険適用になると思います。

40歳を過ぎると各自治体から5年ごとに無料クーポンが配布されます。5年は少し長いので、2年に1度くらいの頻度で検診に行くといいでしょう。

 

検診だけでなくセルフチェックも大切!

乳がんには、しこり(腫瘤)をつくる通常型の乳がんと、発赤があらわれる炎症性の乳がんがあります。発赤があらわれるタイプの乳がんは見た目にも変化があるので、わかりやすいと思います。ただし、このタイプの乳がんの場合は医療機関を受診しても、乳腺炎と間違われやすいので注意が必要です。

しこり(腫瘤)ができる乳がんについては、手をあげた方の胸を反対の指の腹で軽く押し、しこり等がないかをチェックします。

授乳期は、突っ張るような違和感など、いつもと違う感じが常にあると思いますが、少しでも気になること、違和感があれば、医療機関を受診するようにしましょう。

竹内正人先生

1987年日本医科大学卒業。米国ロマリンダ大学(周産期生物学)、日本医科大学大学院(産婦人科学・免疫学)を経て葛飾赤十字産院勤務(東京:1994年~2005年)。周産期医療に力を注ぐほか、JICA(国際協力機構)母子保健専門家として、ベトナム、アルメニア、ニカラグア、パレスチナ、マダガスカル、カンボジア、ドミニカの母子医療にもかかわってきた。2005年葛飾赤十字産院退職(産科部長)。櫻川介護老人保健施設・施設長として介護現場を経験し、2006年より東峯婦人クリニック勤務(東京・江東区・副院長)。