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まだまだ根深い男親と女親の固定概念。「おかあさん、いつもお弁当ありがとう!」の手紙に思うこと

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こんにちは、斗比主閲子です。

保育園や幼稚園では、先生が児童に親への手紙を書かせることがありますよね。文字はプリントアウトしているものもあれば、子どもが書くこともある。大体、似顔絵がセットになっています。あれはもらうと嬉しいんですよね。似顔絵は最初は目と口を点で表現するだけだったのが、髪の毛も描くようになったりして、成長していることが垣間見れる。

先日、「おかあさん、お弁当をいつも作ってくれてありがとう」というメッセージが印字され、母親(と思われる人間)の似顔絵がセットになった手紙を子どもが持って返ってきたことがあります。他の手紙と何ら変わらないこの手紙が、我が家ではちょっとした議論になりました。

なぜなら我が家ではお弁当を作っているのは女親だけではなかったからです。

 

子どものお弁当は夫婦の共同作業

我が家では、私がもっぱら料理をしています。

ただ、子どもに持たせるお弁当については、作るのはいいんですが、小さい容器に詰めるの作業がなぜか苦痛になって、詰めるのはパートナーに任せるようにしています。

あとは、スペースを埋めるための茹で卵や卵焼きを作ったり、デザートを詰めたりするのもパートナーにお願いすることがありますね。

だから、我が家の中では子どものお弁当作りという家事は夫婦の共同作業ということになっています。そうなると、先ほどの手紙は、「おかあさん、お弁当をいつも作ってくれてありがとう」ではなく、「おかあさん、おとうさん、お弁当をいつも作ってくれてありがとう」となっていないと実態としておかしいわけです。

 

先生が印字しているからややこしい

子どもはお弁当がこういう風に作られていることは知っています。詰めるところ含めて親が料理をしているのを意図的に見せるようにしているからです。親がしているものは子どもはマネをしようとしますよね。子どもに親のマネをしやすいようにして、料理をするハードルを下げようとしています。実際に子どもは料理をやろうとすることがよくありますし、「今日のお弁当、おいしかった!」と親が二人いるところで言ってくれます。

ただ、先生から「おかあさん、お弁当をいつも作ってくれてありがとう」と印字された手紙を見て、その場で違和感を示せるかというと、言語能力的にどうかというのもあるだろうし、まだそんな感度は持っていません。仮に分かっていたとしても、それを他の生徒がいる前で先生に言えるかといえば、たぶん言えないでしょう。

それで、この実態とは異なる手紙を見て我が家ではどんな話になったか。

「うちの家は夫婦で弁当作りをしているんだから、これはおかしい!」と先生に抗議をしようという話には……なりません。目くじら立てるほど大したことじゃないですからね。先ほど書いたとおり、家庭内でちょっとした議論になっただけです。「やっぱり、こういう感じだよねー」と話しつつ、「ただ、こういうのをきっかけにして、先生不審になる家もあるんだろうな」という会話はしました。

 

おべんとうを作っているのがシンパパだったら?

お父さんがお弁当をすべて作っている家で、それが専業主夫家庭だったり、シングルファザーの家庭だったりすると、受け取られ方はもう少しセンシティブになりますよね。受け取った父親の中でモヤモヤが生じる。

メッセージが印字されたものではなく、子どもに書かせる形式でこれが常に回避できるかといえばそんなことはありません。子どもにお手本として「おかあさん、いつも○○ありがとう」としたものだけしか先生が紹介してなかった場合だってありえますからね。

多様な家庭に配慮するということであれば、○○に何が入ろうとも、前段の「おかあさん」の部分を「おとうさん」「おばあちゃん」みたいに変更可能であるということを先生は児童に伝えておく必要がある

「おとうさん、いつもお仕事ありがとう」というお父さん向けの手紙だけで、お母さん向けの手紙がないと、こっちはお弁当以上にややこしいことになりそうな気がします。今では共働きが一般的ですから、「働いているのはお父さんだけではないよ!」と反感を覚えることになりかねない。

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※画像は専業主婦世帯数と共働き世帯数の推移/統計情報Q&A|労働政策研究・研修機構(JILPT)より。

 

片働き世帯が多い幼稚園に限らず、共働き世帯が多い保育園でも、園のイベントごとに借り出されるのは女親が多かったり、園から親への連絡帳には宛名が「お母さんへ」になっていたりするのはよく聞きます。

男親が子育てに関与する時間は確実に増えていますからね。女親だけが子育てをしているものとして扱うと、女親からは「なんで私ばっかりに子育てを押し付けようとするの!?」ということになるし、男親からは「俺たちもやってるのに無視されてる!?」ということになる。

 

ちょっとした手紙から我が家ではこんな話になりました。同じようなことが話題になったご家庭もあるんじゃないでしょうか。

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斗比主閲子
プロフィールは『1976年10月3日生まれ、福岡県出身。旧帝大卒業後、一部上場の家電メーカーに就職。外資系含めて何度か転職した後、現在は某企業のIR部門に所属。2.5世帯住宅で、X人目の子育て中……』ということになっています。

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