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「習い事」練習はイヤ!でもやめたくない。どう理解して、接していけばいい?[後編] by kobeni

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いつも挫折と紙一重?!習い事を「ただ、続ける」ことの難しさ[前編]からの続き

 

前頭前野、「ただいま絶賛発達中」

1月と3月に放映され、賛否両論を呼んだNHKの番組(ママたちが非常事態?!最新科学で迫るニッポンの子育て)で、「3歳の子と6歳の子が、『目の前に置かれたクッキーを食べるのを5分我慢すれば、もうひとつクッキーが貰える』と言われて、我慢できるか」という実験をやっていた。3歳(イヤイヤ期)の子は堪えきれずクッキーを食べてしまう。6歳の子は待つことができた。

この行動の違いは、脳の「前頭前野(抑制機能)」の発達に由来するらしい。衝動的な欲求に左右されず我慢をしたり、未来の計画を立てたり、社会のルールを知るなど、人間的な生活をしていく上で重要な部分であり、その発達は思春期頃までかけてゆっくり進むのだそうだ。

 

私は思った。「あー、前頭前野だわ」。

「練習をして体で覚えれば」→「思い通りに指が動く」。「今週、練習を怠ると」→「週末のレッスンで自分が泣くことになる」。「今の練習は辛い」→「でも、上手になればレッスン当日は楽しい」…大人から見れば至極当然の因果関係だが、小さな子どもには分からない。だって、前頭前野が「ただいま絶賛発達中」なのだ。その上、発達には個人差もある。

悪気があって練習を怠ってるわけじゃないんだ。そもそも「悪気」だって、かなり高度な思考なのかもしれない。ごめんよ長男。ごめんよ長男の脳。イライラしていた自分を反省した。

 

同じクラスの子たちを見ていると、やっぱり「好き」な子がいちばん強い。努力を苦痛に思わず、練習も楽しんでやれている。また、負けず嫌いな気質を持った子も、細かく達成感を味わうことができ、うまく続けられているような気がする。

とはいえ、子どもの「好き」なんて、そう簡単に見つからないのだ。いろんな世界を見せてあげたいと思いながらも、日々の生活に疲れ切って土日も淡々と過ごしてしまうことが多い。ダラダラして週が明け「ああ、またどこにも連れて行かなかった……」と凹んでばかりである。

 

長男の練習嫌いは小学校に入っても直らず、それでも「やめたくない」の一点張り。悩 んで先生にも相談してみた。

曰く、「努力することへの抵抗感は、何度か波のようにやってくると思います。でも、だからこそ、小さな子どもでも『あくまで主体者は自分』という納得感はとても大事」。長男はいつもどこか「周囲がやれって言うから練習している」というところがあった。なので「先生や、親の私たちにはあくまでサポートしかできない。習っているのは自分」という話を、丁寧にしてもらった。

そんなこんなの甲斐あってか、やっと最近、弾くことが楽しくなってきたようだ。先のことは分からないが、「好き」が芽生え育っているのは何よりである。

(前編に出てくる)Hちゃんの存在も、きっと良い影響を与えている。彼女にもなんとか続けてほしいのだが、果たして。Hちゃんは他にも3つ習い事をしているので、なかなかに多忙なのだ。

 

過熱している? 習い事市場

長男のお友達はだいたい複数の習い事をかけもちしている。親たちは「自分が親にしてもらったように、子どもにもさせてあげたい。色々試して、どれか残ればいい」と考えているようだ。

みんな本当に子ども想いで優しいなあ…と思う一方、月謝がけっこうな額になってしまいそう、とも思う。たとえばプールなどは、小学校に入る前から、「学校じゃ泳げるようにならないので、みんな○○(プール教室の名前)に通ってる」という情報が飛び交っていた。

 

「うちの子、そんなにたくさん習い事してない」と、不安になることもある。

そのくらい、私には、習い事の市場競争が過熱しているように見える。子どもの数が減って、一人ひとりにかける期待値が上がっているのか(それはそのまま、学校や、民間業者の教育・サービス向上への期待につながるだろう)。共働き家庭が増えて、放課後の居場所としてニーズが高まっているのか。いずれにせよ個々の家庭における教育への支出が増しているとしたら、「習い事に通わせられない家庭」や「塾に通えない家庭」の子どもはどうなるんだろうか。

最近では、学校現場も以前より「各家庭の協力」を求めている。我々の子どもの頃よりも、宿題の丸つけやPTAの仕事など、やることが増えているような気がするのだ。

極端な話だが、将来「裕福でない家の子は、泳げない」みたいなことにならないと良いんだけど……とか、思ったりする。

 

ところでこの文章を書いているまさに今日、会社で仕事をしていたら、自宅にいた夫が「(長男が)帰ってきてランドセル放り投げて練習始めた」とLINEしてきた。

私にしてみれば驚きの進歩だ。何があったか? いま習っている曲が「ものすごくゲーム音楽っぽい」のである。エレクトーンなので、ジャーンと勝手にシンバルなど鳴らしてくれる。途中で勝手に楽器の音が変わる。そういうギミックが楽しくなってきたのだろう。

ゲーム好きな長男にとって、やっとエレクトーンが「おもちゃ」に昇格したようだ。そのうち、ドラクエのBGMなど弾き始めるに違いない。♪てれれってってってー。にんたいりょくが 3 あがった! これからもレベル上げ、頑張ってね。

 

著者:kobeni(こべに)
子どもの年齢:7歳、3歳

仕事と育児の両立などをテーマにしたブログ kobeniの日記 を書いています。二人の男の子の母親。東京在住。

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