初めての妊娠は、未知との遭遇の連続。それぞれの時期の身体の変化や必要な知識に追いつくことができず、焦ったり悩んだりしたことがたくさんありました。
その中で、忘れられない出来事の1つが、「生ハム食べちゃった!」事件です。
もともと、ちょっと心配性な私。
食生活においても、妊娠が分かってからは意識して葉酸を摂ったりカフェインをカットしたりと、なんとなく知っていた注意点に関しては取り入れて“マジメ妊婦”をしていたつもりでした。
でも、ぼんやりと見たり聞いたりしたことはあっても、当事者になって初めてハッとする注意点もあるもので……。
私の場合は、「なるべく生ものは避けるべき」というのが、それでした。
今となっては当たり前すぎてツッコミたくもなるのですが、妊娠4ヶ月の頃、改めてその情報に触れた私は、「そっかぁ、そうだよね~」と食生活を振り返ってみたのです。
お刺身は何度か食べちゃったけど、量や種類に気をつければいいみたい。
生肉には注意が必要らしいけど、食べる機会がなかったから大丈夫……。
そこで、私は思い出しました。
珍しくつわりが落ち着いていた日に夫と外食をした時、注文した前菜に少し生ハムが入っていたことを。
イヤな予感がして、ネットで「妊娠中 生ハム」などのキーワードを検索。
すぐに、私と同じように不安になっている妊婦さんたちの投稿がたくさん見つかりました。
そして、調べていくと、『トキソプラズマやリステリアに感染して赤ちゃんに影響が出る可能性がある』という記述を発見。
もう頭の中は、生ハムを食べてしまったことへの後悔と、赤ちゃんへの影響への恐怖でいっぱいです。
私の不注意のせいで、赤ちゃんに何かあったらどうしよう……。
次の健診で、私は早速先生に言いました。
「先生、私、不勉強で……生ハムがダメと知らずに2枚ほど食べてしまったんです……」
私がよっぽど思いつめた表情をしていたのでしょう、先生は拍子抜けしたように、
「あぁ、最近の日本では生ハムでの感染の報告は聞きませんから、まず問題ないですよ」
と、笑顔。それでもモヤモヤが晴れなかったので、
「でも、検査をしたりしなくてもいいんでしょうか……?」
と、前のめりになって聞いてみたのですが、
「大丈夫でしょう。それより、悪いことを考えすぎて寝不足になったり不安定になったりすることのほうが、赤ちゃんのためにはよくないですよ」
先生は終始悠然とした対応。赤ちゃんのことよりも自分のことを心配され、診察はあっさり終わってしまったのでした。
その後も不安が完全に消えることはなく、クヨクヨしては、先輩母親である友人に話を聞いてもらったり先生の迷いのない口調を思い出したり。
なんとか前向きに、「今後はもっと気をつけよう」と思えるようになったのは、妊娠中期に入って心身の状態が落ち着いてから。
結果的には、私は妊娠中に大きな問題にぶつかることもなく、無事に元気な長男を出産することができました。
今や、たった2枚の生ハムのことで悶々としていた妊娠初期の私は、家族や友人の間では笑い話のネタ。自分でも、ナーバスになりすぎていたのかなと恥ずかしく思うことも。
でも、その一方で、やっぱり100%大丈夫とは言えない以上は、きちんと注意するべきだったという気持ちも残っています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:cosmic
年齢:37歳
子どもの年齢:1歳4ヶ月
フリーライター。女性誌やWEBなどで執筆。遠距離結婚生活を経て、2015年に長男を出産。“東京で仕事”と“関西で育児”、両方の暮らしを楽しむのがマイテーマ。目下、知らないことだらけのベビーワールドをキョロキョロ探検中です。
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