アメリカでは、恥ずかしくて婦人科検診をドタキャン
いつか母親になりたいという希望はずっと持っていて、20歳くらいの頃から基礎体温を測ったり、わりとしっかり準備はしてきた方だと思います。というのも、一時期アメリカのチームにいたのですが、そこでは、10代のうちから婦人科検診を受けることが当たり前でした。でも、婦人科検診って聞くと、やっぱり恥ずかしいじゃないですか。ちょっと怖い感じもしたので、まだ言葉もよく分からなかった最初の頃にドタキャンしたことがあって。後でトレーナーにすごく怒られました(笑)。
でもだんだん、特に女性アスリートは、自分の体の状態を知ることがとても大切なんだということが分かってきました。中には、激しいトレーニングで体脂肪が減りすぎて生理不順になったり、婦人科系に支障が出たりする選手もいましたし、排卵日に靭帯を痛めやすいとか、ケガが多くなるということもトレーナーに言われていましたので、基礎体温を測ることにしました。基礎体温を測っていれば、自分の周期が分かって、いいコンディションで試合に出るための準備も出来るし、ちゃんと排卵しているかということも分かります。
日本では、薬を飲むことに抵抗がある人も多いかもしれませんが、アメリカではピルを飲んで排卵をコントロールするのはわりと一般的で、私もそうやってコントロールしていました。
私自身はそんなに生理が重いということはなかったんですが、人によっては生理で具合が悪くなる人もいて、試合に重なると大変なんです。選手として活動しているうちは、予定外の妊娠も避けなければいけないですし。あと、試合で白い短パンを履くことが多いので、そういうところにも気を遣うんです。
後輩にも婦人科検診をすすめている澤さん。
当たり前のこととして浸透して欲しいという強い思い
日本に帰ってから婦人科の先生と話をした時、日本では婦人科の検診に来る人はまだまだ少ないということを聞きました。後輩たちには、早いうちから婦人科検診を受けたり、基礎体温を測ることをすすめているのですが、「まだ若いから」とか、「ちょっと恥ずかしいから自分はいいや」という感じで、あまりピンと来ていない後輩もいます。
でも、体が健康でないと好きなこともできないですし、将来、結婚して子供を持ちたいという希望があれば、早いうちから検診は受けておいた方がいいと思います。スポーツ選手でなくても検診はおすすめしたいです。確かに恥ずかしいし、億劫だなと思いますが、それはもう一瞬のことですから(笑)。自分にもそう言い聞かせていました。婦人科検診が、当たり前のこととして浸透すればいいなと思います。
一時期は葛藤も。でも、その時々で自分に必要なことを選ぶのがベストな道
私の場合は、30代までサッカーを続けて来たわけですが、チームメイトの中には、20代の早いうちに結婚して出産して、まわりの協力を得ながら子育てをしつつ、サッカーに復帰した選手もいます。それぞれにベストなタイミングってあると思います。
私の場合はサッカーですが、仕事に打ち込みたいという気持ちと、早く結婚して子供を持ちたいという気持ち、両方の気持ちがよく分かります。女性だったら、絶対悩むところではないでしょうか。正直、私も葛藤した時期はありました。でも、その時々で自分に必要なことを選ぶということがベストな道なんじゃないかと思います。でも、悩みますよね。よく分かります。
何でもざっくばらんに話す夫との関係
夫とは、早く子供が欲しいねという話はしていて、私自身の体の状態や、いつ子供が出来やすいかということも、何でもざっくばらんに話していました。結婚して妊娠するまで、わりとスムーズに行った方だと思います。夫も、分からないなりにいろいろ調べたり、まわりの友達に聞いたりして協力してくれていますし、お母さんだけが頑張ればいいという話じゃない、ということも分かってくれているみたいです。
出産の時に立ち会いたいという希望は持っているようですが、仕事の都合もあるので、その時になってみないと、どうなるか分かりませんね。私としては、立ち会って欲しいという気持ちはあります。試合の時でも、苦しい時にまわりの声やサポーターの応援が聞こえて、最後にふんばれた! ということがたくさんありましたから(笑)。
インタビューの続きはゼクシィBaby11月号(10月15日発売)に掲載されています!
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
1978年東京都生まれ。15歳で日本代表に初招集され、代表歴代トップの205試合に出場、83得点を記録。2011年ワールドカップドイツ大会で初優勝し、得点王と大会MVPに輝く。同年度の「FIFA 女子年間最優秀選手」を受賞。2012年ロンドンオリンピックでは、銀メダルを獲得。2015年8月に結婚し、同年12月に現役を引退。