当サイトでご紹介した体験記の中に、
「産後、乳腺炎になるのが怖かったので、乳製品、油、余計な糖分を絶った」
という内容の記事がありました。
「授乳中に甘いもの&脂肪を摂りすぎると乳腺炎になる」とよく耳にしますが、果たしてどうなのでしょうか。
「授乳中に食べたものは母乳にどう影響するの?」
気になる答えについて、産婦人科医宋美玄先生&小児科医森戸やすみ先生が、専門医としての根拠をもとにお答えする書籍『産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』(メタモル出版)から一部抜粋してご紹介します。
Q 授乳中のお菓子は一切ダメ?
甘いお菓子をたくさん食べても母乳は甘くなりませんし、影響はありません。
お煎餅などのしょっぱいもの食べても、母乳は塩辛くなりません。母乳は血液から作られますが、血糖値や血中ナトリウム濃度は一定になるように、何系統にもわたる仕組みがあるからです。
ケーキなどの乳製品、脂肪分が母乳によくないと言う人もいますが、脂肪を多く摂っても、飽和脂肪酸か不飽和脂肪酸かという組成は変わるものの、母乳中の脂肪は増えません。
しかも、その脂肪の直径は初乳で1.5~3.0μm、移行乳と成乳で2.0~6.0μmと言われていて赤血球よりも小さく、一つひとつがくっついて大きくなるという性質はないのです。
一方、乳管の太さですが、表層近くの乳管は2㎜(2000μm)で、細乳管という一番細いところの径はわかっていません。が、毛細血管よりは太いことがわかっているため、乳腺房の一番細いところであっても、赤血球よりも小さい脂肪が詰まるということは考えにくいですね。
母乳中にあるのは、もちろん脂肪だけでなく、88%が水で、脂肪は3.5%です。
高脂肪の食品をとりすぎて乳管を詰まらせ、乳腺炎の原因になるということはないのです。
それから、乳製品や卵などの特定の食品を食べないようにしても、お子さんのアレルギーを予防できるということはありません。だから、ご自身の健康に悪くない程度であれば、好きに食べてくださいね。
また、コーヒーや紅茶、緑茶などのカフェインを含む飲みものも、普通の量なら飲んでも大丈夫。
アメリカ小児科学会は、1日に2~3杯までなら問題ないとしています。
授乳中は喉が乾きますから、カフェインが入っていない飲みものと併せて適量を飲みましょう。
このほかにも『産婦人科医ママと小児科医ママのらくちん授乳BOOK』には、授乳の基本から、授乳中の他の嗜好品や薬のこと、粉ミルクのこと、混合から母乳育児だけに移行する方法、乳房のトラブルの対処法、離乳のことまで詳しく載っています。
授乳についての正しい情報が知りたい人は是非チェックしてみてくださいね!