ある日の出来事
その日は、なんだかいつもよりつわりがひどい気がしました。
朝ごはんを即座に戻してしまいましたが、まぁいつものことか、と思いながらいつもの電車で出社しました。
でもなんだかおかしい。
会社まで普通に歩いて20分。
その日は全然歩けず、45分でやっと到着。
業務に取り掛ろうにも気持ち悪く、すぐにトイレへ。
昼食を食べても戻してしまう。
何度も「帰ろうかな」と思いましたが、帰るのも体力が要るので
「体調が回復したら帰ろう」と考えていたら結局定時になってしまいました。
外へ出ると、さっきまで晴れていたのに小雨が降っていました。
やっとの思いで駅へ辿り着くと、そこには『雷と大雨の影響で電車がストップしています』の表示が。
駅にはベンチもありませんので、立ちながらいつ来るかわからない電車を待つしかありませんでした。
30分、1時間たっても来ない。
もう限界…と思った時、やっと電車がきました。
座りたい…!と思ったけど、皆が乗り込むその電車にダッシュで駆け込む元気もなく、私が電車に入った時はもう満員でした。
私の顔は青ざめていたんだと思います。心優しい男性が
「座っていいよ、大丈夫?」
と声をかけてくださいました。
嬉しさと申し訳なさと情けなさですでに涙が出そうでした。
お礼を言って座ると、隣に座っていた母と同じくらいの年齢の女性が、「つわり?しんどい?これ、おばちゃんが働いてるパン屋の袋だけど、吐きそうになったら使いな」
と紙袋をくれました。
さすがに電車で吐いたらいけない、と思った私は
「ありがとうございます、でも…」というと、
その気持ちを察したかのように
「大丈夫。誰も見えないようにおばちゃん隠したるから」
と笑顔で言いながら私に紙袋を持たせてくれました。
本当にありがたくて、涙が溢れました。
すると、その女性の隣に座っていたご友人が
「涙が出るのは頑張ってる証拠だねぇ。良いお母さんになるよ」
と励ましてくれ、それ以降最寄り駅につくまで、席を譲ってくれた男性、優しい女性お二人が時たま「大丈夫か?」と声をかけてくれました。
不思議とつわりが引いていく気がしました。
最寄り駅まで到着し、三名の方にお礼を言うと
「元気な赤ちゃん産んで、少子化対策に貢献してや!」
「がんばれ、家まで気を付けて」
と最後まで優しい言葉をかけてくれました。
駅まで車で迎えに来てくれた母にこのことを話すと
「きっとお腹の赤ちゃんが、今日は雨で電車が止まるから早く帰りなさいよ。ってつわりというサインで教えてくれてたのよ。
でも、あなたが結局頑張りすぎちゃって定時まで帰らなかったから、良い人に巡り会わせて、楽に帰ってこれるようにしてくれたのね。
我慢したのはすごくえらいけど、でも頑張りすぎないでね」
と言われました。母の私を気遣う優しさにも嬉しさが込み上げました。
こんな優しい人たちに支えられて子供を産めることに感謝します。
生まれてくる子供もそんな優しい子に育って欲しいです。
後日、紙袋に書いてあった店名を頼りに、パン屋さんまでお礼しに行きました。今ではその女性とお友達です。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:bob
そろそろ安定期^ ^生まれてくるのが楽しみです!
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