母乳がよく出るか、出ないかは、赤ちゃんが生まれてみないとわからないもの。
順調なマタニティ期を過ごして、無事にお産を終えたママが、産後に直面することが多いのが「おっぱいが思うように出ない」という悩みです。
入院中にある程度軌道に乗ればいいですが、出が悪いままに退院すると、次の健診まで、「これで足りているの?」と不安な日々を過ごすことになります。
当サイトでご紹介した体験記の中にも、「お産入院中に母乳が出ず1日5回ある授乳の時間が苦痛だった」という記事がありました。
赤ちゃんはお弁当を持って生まれてくると言われます。
はじめの一週間くらいは、ママのおっぱいが思うように出なくても、ちゃんと生きていけるように、栄養を蓄えて生まれてくるという意味です。
なので、産院にいる間には体重が減る赤ちゃんがほとんどなのですが、それを知らないと、体重が減ることに衝撃を受けるママもいるようです。
同じく体験談の中に、「授乳したのに体重がマイナスになり、ベビースケールで体重を測るのが怖かった」という記事もありました。
さて、おっぱいの出にママが悩んでいる時、赤ちゃんはどんな気持ちなのでしょう。
ここでは、「ことばが話せない赤ちゃんは何を思っているの?」というママの疑問に、赤ちゃん学の第一人者である小西行郎先生が監修する書籍「ママ、わたしこんなこと思ってるよ〜赤ちゃんのしぐさと表情で気持ちがわかる本」(PHP研究所)から一部抜粋してご紹介します。
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わたしも上手に吸えるようになるね!
ママはおっぱいの出が悪いことを気にして自分を責めているようだけど、心配しないで。ママだけのせいじゃないよ。
わたしも、まだそんなに強く吸えないから、おっぱいが出ないのよ。
しばらくは、ママのおなかの中で蓄えてきた栄養があるから、大丈夫。
哺乳瓶で飲むミルクも、これはこれでおいしい。
ミルクを好きになったら、おっぱいを飲まなくなるかも? って
ママは心配しているみたいだけど、そんなことないよ。
おっぱいが出るようになったら、ちゃんとおっぱいをいただきます。
わたしも上手に吸えるようになるから、待っていてね。
何より、ママが深刻な顔をしていることが心配。
おっぱいだけでわたしの人生が決まるわけじゃないもの!
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そうなんです。
母乳育児は、ママのおっぱいだけでなく、赤ちゃんの吸い方が上手なのかにもかかっています。だから、ママは自分だけの責任だと思って、落ち込まないでください。
母乳育児が軌道に乗るにはおおよそ6週くらいかかります。
よく飲む赤ちゃん、少食の赤ちゃん、乳管の太いママ、細いママなどと、赤ちゃんもおっぱいのタイプもいろいろで、組み合わせによっても相性はさまざま。どんどん出るおっぱいに少食の赤ちゃんだと、飲み残しができて母乳量が減るし、おっぱいの出がいまいちだったけど、グイグイ吸ってくれる赤ちゃんだと、出がよくなることもあります。
ママと赤ちゃんのお互いのペースがあって、必要な量が出るようになるには、時間がかかるのです。
ミルクを足す時は、はじめにおっぱいを飲ませて、あとからミルクを足しましょう。
哺乳瓶を使うと、それに慣れて、母乳を飲まなくなると聞きますが、そんなことはほとんどありません。まれにそういう赤ちゃんがいるかもしれませんが、ほとんどの赤ちゃんはおっぱいもミルクもどちらも飲めますので、安心してください。
ストレスもおっぱいの出を悪くします。あまり深刻にならず、「いつか出るようになるかな」とのんびり構えておくくらいがいいですね。
>>次回のエピソード:赤ちゃんが泣き止むコツは縦に抱くこと?~赤ちゃん学の先生にききました~
赤ちゃんのしぐさと表情で気持ちがわかる本(PHP研究所)/監修・小西行郎
赤ちゃんはことばが話せなくても、表情やしぐさで何かを伝えようとしています。赤ちゃんが伝えようとしていることを、赤ちゃん学の第一人者・小西行郎先生監修のもと、「赤ちゃんのひとり語り」でわかりやすくまとめました。イラストは、『まめ日記』の著者であり、Instagramのフォロワー18万人以上のイラストレーター・横峰沙弥香さんです。