はじめて話した言葉がママでもブーブーでもなく、「しんかんせん」というのはやっぱり一般的ではなくて。けれども1歳2か月でやっと迎えた発語に、うちの子はゆっくりタイプなんだと納得していました。
1歳半健診で言葉の発達の遅れを指摘されたとき、ヒルマは意味のある言葉をほとんど話しませんでした。「パパ」と言えるようになったのが1歳10か月、「ママ」と話せるようになったのは2歳を過ぎてからのことでした。
2歳半で療育に通いはじめ、特性に合った声かけや遊び方を家庭でも取り入れると、ヒルマの話せる言葉はどんどん増えて行きました。当時は、「おなまえは?」と聞かれると、「おなまえは?」と元気に答えてしまう子でしたが、3歳を過ぎると自然とオウム返しも消えていました。
「これ、パパにくれた!」
5歳のある日、ヒルマはそう言って、パパからもらったチョコレートをうれしそうに見せてくれました。言葉は増えたものの、「てにをは」の使い方が自由だったり、「すること」と「されること」の区別が曖昧だったりで、言い間違えることがよくありました。
そんなときの対応ですが、療育での指導もそうであったように、間違えたことは指摘しません。子どもの「伝えたい気持ち」を優先し、まずは「良かったね」とか「うれしいね」と共感します。
そしてすかさず聞き取りやすい声とスピードで、
「パパが、くれたんだね」
と正しい言い方を話して聞かせます。するとヒルマも間違いに気づき、「うん。パパがくれた」と修正してきます。幼児期には、わたしはひたすらこの方法をくりかえしました。
「あした、お弁当、学校に持ってくるから」
一年生になっても時々、つじつまの合わないことをするりと言ってしまうことがありました。でも、ヒルマが楽しそうに話してくれる姿はうれしくて、わたしも笑顔で返事をしました。
「あした、お弁当持って、行くんだね」
と、もちろん正しい言い方で。
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