第一子が生まれた時、私と夫は結婚して9年経っていました。
自分で言うのもなんですが、いわゆる『ツーカーの仲』、「アレってさ」「それな」みたいな会話が成立するくらい。
そんな自分たちの関係が、ちょっと誇らしくもありました。
しかし、妊娠出産から育児という、人生最大のイベントが発生してから、その仲は、こんなに脆いものなのかと、思い知ることになります。
最初は、妊娠中のつわり時期。
私は「気持ち悪くてご飯作れない」と言うと、夫が「まかせて!」と得意の和風パスタを作ってくれることになりました。
しかし、吐きつわりの私、匂いだけで「おええええっ」、即KO。
「ごめん、せっかくだけど、食べられない」と涙目で言う私、
「えっ、そっか……、作らなきゃよかったね」残念そうな夫。
申し訳ない気持ちでいっぱいになりつつ、心のすみで、(でも、気持ち悪くてご飯が作れないって言ってるんだから、食べられないって、わからないかな……?)なんて、モヤモヤしたりしました。
このように、「妊娠」「つわり」という初イベントの発生は、「ツー」「カー」でよかった夫婦の会話を、「ツー?」「か、か、カー?」へと変化させたのでした。
この変化を受け入れるためには、「ツーカー」の関係にあぐらをかくことなく、「その都度言う・聞く」という「手間」をかけなければならなかったんだと思います。
しかし、私という人間は、できることなら極限までめんどくさいことを避けるタチでして。
モヤモヤを抱えつつ、「まいっか、なんとかなるさ」と甘く考えたまま、子どもが生まれ、【育児】という最大級のイベントに突入しました。
想像を絶するタスクの多さと、要する時間の読めなさ、ゴリゴリ削られていく体力と時間と精神力。
こうなってしまうと、「これはヤバイ!」と思っても、「その都度言う・聞く」という「手間」など、かけられるわけもなく。
もともと「察する」能力が発達していると言われる「女脳」な私。
夫に説明するくらいなら、自分でやったほうが早い!と、アンテナビンビン立てて、ちゃっちゃかタスクをこなしました。
子どもがキバっているのを発見!「はいトイレ~!」何をしてても手を止めてトイレに連行!!
外遊びから帰宅!「はい手を洗ってね~!」と洗面所の電気をつけ、子どもが手を洗ってるうちに、先回りして飲み物を用意!
夫とは、かつての「ツーカー」はどこへやら、「自分のことは自分でやって!」とだけ伝えていました。
それが一番、タスクの遂行をスムーズにすると思っていました。
知らなかったんです。その結果、家族が、どうなるか、を。
夫に子どもたちを見ててもらって、食事を作っている時。
私に、「ママー」と甘えてくる子ども。
「何?どうした?パパと遊んでたんじゃないの?」料理しながら聞く私。
「ママ~、ママ~、ママ~」「なに!?なに!?なに!?トイレ!?飲み物!?食べ物!?」
はっきり言わない子どもにイライラ。「もう、ちゃんと言ってー!」
叫んで、はた、と気づくのです。
私のスカートを掴んで、くねくねしながら、「ママ~」を連呼する子ども。
その顔に浮かぶのは、「言わなくても、わかるだろ……?そう、ママならね☆」
ーーー私がなんでも「察する」から、子どもたち、「ママは言わなくてもなんでもやってくれる」と思っちゃってる……!?
いやいや、ちょっと待って、私、さすがに「ママ~」だけじゃ、わかんないから!
「ツー」が求める「カー」のレベル、高すぎだから!
言わなきゃわかんないからーーーー!!
そう。私も、言えばよかったんですよね。
「つわりでご飯作れない。私は食欲がないし、何が食べたいかわからない。だから、私の分はいいから、のりちゃん(夫)は、自分で自分の食事を用意して食べてほしい」と。
子どもたちにも、言えるように、促せばよかったんです。
手を洗おうとしたら、洗面所が暗い。
「ママ~、くらい~」「うん、暗いね。どうしよっか」
電気のスイッチは、自分は届かない。
「ママ、でんきつけて~」「オッケー!」
手を洗えたら「なにかしたいことある?」
「のどかわいた!おちゃくださいな!」「はーい!」
きっと、本来は、この方が、スムーズな流れなんですよね。
察する能力というのも、コミュニケーションに必要なものなんですけどね。
でも、「察しろ」と相手に「要求」するのは……マズイ!ですよね!!
それからは、「察しろ要求」の気配を感じたら、『ウ~ウ~ウ~!』「言わなきゃわかんない警報」発令!!
どうしてほしいのか、相手にハッキリ言う!!
妊娠中からのコミュ力不足フラグを、ここに来て、やっと回収できたのでした。
その上で、一つだけ、注意。
「言われた方は絶対否定しない」
「おやつたべたい」という子どもに「え~?」と嫌がったり「ダメ!」と否定するのではなく、「さっきお昼を食べたばかりだから、3時になったら食べよう」「この後すぐご飯だから、もう少し我慢しよう」など、理由と具体策を言うようにすること。
というのも、私自身、子どもの頃よくダメダメ言われてまして、そのうち「どうせ言ってもダメって言われるし」と、親に隠れておやつ食べてまして……。
今思うと、「そうじゃない、そうじゃないから!」とツッコミたくなるんですよね。
ま、この、「理由と具体策を言う」っての、冷静に子どもにも分かる言葉を選ばなきゃで、けっこう大変なんですけどね。
家族でのコミュニケーションを、めんどくさがらずに、強制でもなく、楽しめるようになりたいなー、と思うから。
本物の「ツー」「カー」の関係になりたいから。
家族内コミュ力、鍛えていこうと思います!
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
>>次回エピソード:怒っても伝わらないんじゃ意味がない!イライラの感情が爆発した後にできること by うだひろえ
著者:うだひろえ
年齢:アラフォー
子どもの年齢:5歳と3歳
マンガ家/イラストレーター。愛知県生まれ。2008年『夢追い夫婦』(KADOKAWA)でコミックエッセイデビュー。『誰も教えてくれないお金の話』(サンクチュアリ出版/監修:泉正人)が30万部を超えるベストセラーに。5歳男児&3歳女児の子育てに奔走する生活を、ツイッターやブログで垂れ 流し中。
website:http://umeyon.net
最新刊:「伝えるチカラを身につけたらダメ旦那が稼げる男になりました」
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。
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