こんにちは、ユーラシアです。
長い妊娠生活や壮絶な出産を経てようやく訪れる我が子との初めての対面は、 多くの人にとって感動の一瞬だと思います。
私ももちろん感激はしたのですが……
その前に数分間「我が子がエイリアンじゃないかと錯乱する」というワンクッション(?)がありました。
息子が遂にこの世に誕生した瞬間、聞こえてきたのは、お馴染みの元気な「オギャー!」ではなく
「オゥルベクプチュアァ」というような、篭った声。
人間の声というよりは、動物の鳴き声のような、機械音のような、不思議な音声でした。
産声は幼児の泣き声とは違うわけで、クリアな大声でなくても当然かもしれませんが、私は「今の声なに!? なんか……想像と違う!!」と一人で大パニック。
人間ではないエイリアンのようなものが生まれてしまったのでは!?と、今では馬鹿馬鹿しくてとても信じられないけど、本当に本気で焦りました。
「だって、体内で勝手に(ではないか……)誕生して、勝手に栄養を吸い取って大きくなって、 人のお腹をどんどん膨らませて、母親も知らない間に手足やら目や鼻やらを形成して、最終的に人間として出てくるって、ちょっと常軌を逸してる」
何故か突然そう思えて、隣に寝かされているまだ見ぬ赤ちゃんがとても恐ろしい存在のような気がしました。
自分が一人の人間をこの世に生み出したということがスーパーナチュラルすぎて、理性が吹っ飛んでいたのかもしれません。
赤ちゃんは私の隣のベッドに寝かされ体を拭いてもらっていましたが、混乱していた私はそちらを見ることができず、 反対側に立っていた夫に
「どう!? どんな顔してる!? ちゃんと赤ちゃん!?!? 代わりに見て!!!!」と縋り付いて大騒ぎしました。
夫は「何言ってるの? 赤ちゃんだよ」と困惑していたし、看護師さんはきっと苦笑いしていたことと思います。
だけど、数分間ギャーギャー騒いだ後、夫に促されて恐る恐る赤ちゃんの方を振り返ると、
そこには、いたんです。
天使が。
それまで異星人を産んでしまったのではと真剣に怯えていたのに、一気に心を奪われました。 真っ白な肌に、頬や唇が赤く色づいてて、目はとっても大きくて、どこか不安気な顔でフルフルしていて……
あんまり可愛くて、私の子供じゃないんじゃないかと思った程でした。
出産から1年10ヶ月が経って、産前産後のあれこれを忘れかけている私ですが、あのときの息子の神がかった可愛さは鮮明に覚えています(あと陣痛の痛みも……)。
妊娠中はつわりで苦しみ、出産は痛すぎましたが、その辛苦がチャラになった瞬間でした。
出産も育児も、こうやって多大な苦労と強烈な幸せが交互にやってくるんだろうなと思います。
でもエイリアンだ何だと一人でパニクって騒いでいたくせに、一瞬で手のひらを返して感激し始める私に、 周囲はさぞポカーンとしていたことでしょう……恥ずかしい。
それにしても、あの私の錯乱ぶりは思い出しても謎です。
特殊な環境下だったので錯乱してもおかしくない気はしますが、身近な出産経験者に聞いてもあまりそういう話は聞かないので……。
リアルな産声と、それを聞いたお母さんの反応集があったら読んでみたいです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ユーラシア
年齢:30歳
子どもの年齢:1歳5ヶ月
2015年4月に男児を出産。割とテキトーに育児しているオタクでナマケモノな専業主婦です。思いもよらなかった子供の可愛さ奥深さに驚く毎日の中、老後の楽しみにと育児に関する絵や文章をちまちま描いています。息子はいつも親指を吸っています。
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。