『理想』って、本来ステキなモノのはずなのに、子育てしてると、なんでか苦しめられるんですよね。
いつも笑顔のお母さん。
優しくて寛大で時には厳しいお父さん。
素直で純粋な、かわいい子ども。
イメージにがんじがらめになって。
「なんで私、こんなに怒ってばかりいるんだろう」
「なんでパパは、優しくしてくれないんだろう」
「なんでこの子は、何回言っても片づけできないんだろう」
WHY?ばかりが浮かぶ。
考えてはみる。Because……
「私の心が狭いから」
「パパに余裕がないから」
「ママの言葉を聞いてないから」
ダメな理由の羅列。『理想』との違いが、明白になる。
そんなの、目を逸らしたくなります。
ある時。いつまでたってもご飯を食べない娘3歳に、思わず言ってしまいました。
「なんで食べてくれないの?」
せっかく作ったご飯。子どもたちが食べられる食材を、食べやすいように調理して、食べられるだけの量を出した食事。
そこまで私が「がんばった」のに……どうして、「モリモリ食べる」という理想に、届かないの?
「なんで?」
問い詰める形になると、娘は「うう……、うわああああん!」泣き出しました。
泣きたいのはこっちです。
「美味しくないの?」「ちがう」
「食べたくないの?」「ちがう」
大粒の涙を流しながら、首を振る娘。
理由がわからなくて、お手上げの私。
それを見ていた息子5歳が、声をかけました。
「あーんしてあげよっか?」
娘、こくん、と頷きました。
息子、たどたどしい手つきで、ご飯をスプーンですくって、娘に食べさせてあげました。
娘、目に涙を溜めながらも、もぐもぐと食べ、飲み込んでから、「ママがいい」と言いました。
「ママがいいんだって」息子が、私にスプーンを渡しました。
子どもたちの一連の動作が、鉄球のような塊となって、私の頭にぶつかってきました。
目の前で星がチカチカするような、衝撃。
私は『WHY?』で、何を知りたかったんだろう。食べない理由を知りたかった?今後の対策を練りたかった?
それよりも、聞くべきことがあったはず、なのに。
「何すれば食べるの?」
初めて、『WHAT?』を投げてみました。
「あーんしてくだしゃい」
「ぶっ!!」吹き出してしまうほどの、即答。
笑ったのは、娘のことじゃなくて、今までの自分の愚かさ。
目を逸らしてしまうような答えしか出ない質問を、ずっとしてきた自分のこと。
「どうしてそんなダメな思考だったんだろう……」
おっとっと、いやいや!
「何をすれば、『理想』に近づけるんだろう!」
これからは、これでいこう、と誓った次第です。
次回エピソード>>ママの最重要ミッションを朝イチにクリア!「ラブラブ起こし」のすすめ by うだひろえ
著者:うだひろえ
年齢:アラフォー
子どもの年齢:5歳と3歳
マンガ家/イラストレーター。愛知県生まれ。2008年『夢追い夫婦』(KADOKAWA)でコミックエッセイデビュー。『誰も教えてくれないお金の話』(サンクチュアリ出版/監修:泉正人)が30万部を超えるベストセラーに。5歳男児&3歳女児の子育てに奔走する生活を、ツイッターやブログで垂れ 流し中。
website:http://umeyon.net
最新刊:「伝えるチカラを身につけたらダメ旦那が稼げる男になりました」
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。
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