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アンタ~、ミルク買ってきて…!退院早々、母の乳を吸い尽くした「陸のピラニア」 by まきりえこ

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赤児は力強くおっぱいを吸い、おかげさまで母乳も出るようになり、
しかも良く寝る子で、半日くらい起きないで寝てると入院中、看護師さんも言ってたし……

 「楽勝!」

初産の私がそう思っても仕方ないでしょう。

なにしろ切迫流産から始まり、超弩級のつわりののち、切迫早産で入院というトラブル続きの妊娠期間でしたから
「そうか、ここで苦労のおつりがくるようになってたか」
「育てやすい楽な新生児で、ここからバラ色ロードか!」
と思ったっていいじゃないの!一瞬くらい驕ったっていいじゃないの!

 

しかしそうは問屋が卸しませんでした。
産科で「母乳で行けます」の太鼓判を頂いたとき一応私も聞きました。
「ミルクの練習はしなくていいんですか?」
「足りなくなってきたら、また考えましょう。」と言われました。

そうか!新生児ってそんなに飲まないもんね。
この先赤ちゃんの身体が大きくなって、飲みっぷりが良くなったら考えればいいってことね?

入院中にメーカーから貰った試供品のミルクも、同室のママにあげちゃいました。
気前はいい!頭は弱いが気前がいいのが私のいいところ! 

……ところが、
安定していたように見えたお乳と赤児の需要と供給ですが
赤児!実は実力の50%くらいしかまだ見せてなかった!!

入院中にケガしてた!唇に
吸いすぎて唇の皮がベロむけの新生児!

さすがに吸いが悪くなっていた(当社比)のに気づかずにいた私、
そして退院当日「赤児、唇復活!完全復調+初めての環境に大興奮」が同時にやってくるわけです。

「おれはやります!」赤児の目が怪しく光ります。
寝ません!吸います!傷の癒えた唇で今日から本気出す!
その状態で三時間吸われました。

お乳の製造が間に合わず、空の乳を泣きながら吸う新生児。
お乳以外にかなり具も吸われたはず。

貧乳をさらに脂肪吸引された気がする、それはさておき
「あああ!マンション出たとこに薬局があった!」と気づいたのは三時間後
「アンタ~~~!ミルク缶買ってきて!」夫をパシらせました。

ほ乳瓶や温度計は幸い用意があったけど、ミルクの作り方なんて知りゃしません。病院でも練習してないもの。
ひいひい言って作って、ほ乳瓶をくわえさせたら、赤児ぴたっと泣き止み、ものすごい勢いで飲んでゲップして、おっぱい飲み過ぎのゆるゆるうんちして、ばたっと寝ました。 

「はわぁ~~~」緊迫が解け脱力する大人たち。
……なんかものすごいヤツとの生活が始まりました。

初日から「うちのキャンプは簡単じゃないからな!」と鬼軍曹に叩きのめされた気分です。マテ次号!「赤児ブートキャンプ」

 

さて、漫画の中ではさらっと流してますが、
夫が役所の締め切りぎりぎりまで赤児の名前を考えきれなかった件は
またの議題といたしましょう。

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著者:まきりえこ
ゆると:2001年生まれ。お腹の中からダンスィだった。

イラストレーター。2008年、疲れ気味の男子育児からの現実逃避でスタートした子育てブログ「ちくわの穴から星☆を見た」がなぜか人気に。アメブロ子育てランキング1位、のち書籍化。書籍「小学生男子(ダンスィ)のトリセツ(低学年編・高学年編)」「園児《エンジィ)のトリセツ」にて、やらかし系おばか男子「ダンスィ」を描き、母親たちの熱い共感を得た。「ブログ:ちくわの穴から星✩を見た NEW」。イラストマンガ参加書籍「#アホ男子母死亡かるた」など。

 

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