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私たち夫婦は、結婚してから子どもが生まれるまでの9年間、「好きなこと」をたくさんしてきました。
二人でマンガを読んだり映画を観たりゲームをしたり、お酒を飲みながら感想を言い合ったり。
夫は元バンドマンで、私も音楽好きなことから、夫についていってライブハウスでダラダラ飲んだり。
仕事のストレスも、「好きなこと」をしていれば吹っ飛びました。
しかし、私が妊娠すると、つわりがひどく、それら全てできなくなりました。
つわりが落ち着いて、お酒を飲む以外はできるようになったけど、出産後は育児に追われてまたできなくなって。
夫もしばらくは、バンド形式ではなく弾き語りにするなど、時間を調整しながら音楽活動をしていたけど、まあ、いろいろ、夫婦仲も悪くなったり、限界があり。
第二子が生まれてからは、子育てのために、ギターを封印しました。
それから4年。
未熟な親ながらも、なんとかやってきて、子どもも成長しました。
あの頃ほどではないけど、子どもが寝た後、マンガを読んだりネット配信の映画を観たりスマホゲームをしたり、しゃべりながら宅飲みしたり。
二人でライブハウスに通うことはできないけど、昼間のフェスに子連れで行ったり、交代で飲みに出かけたり。できるようになりました。
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そして、ついには、先日。
夫は、馴染みになったカフェバーでお誘いを受け、弾き語りすることになりました。
正直、この4年間、狭い我が家の狭い収納に押し込まれたギター数本を、「これどうすんの?」と思わなかったと言えば嘘になります。
まあ私も、「いつかまた読むから」と大量のマンガを所有している身なんですけど。
夫も、子どもが歌える曲を弾いて一緒に歌う、なんてことができればよかったんですけど、そういう器用なことはできないようでして。
当日、子どもたちも、一緒に観に行きました。
おもちゃも遊び場もないカフェバー、知らない曲の演奏。
途中で子どもを連れて退席することも覚悟してましたが、演奏が始まると、うちの小1年中兄妹、手拍子したり飛び跳ねたり、ノリノリで聴いていました。
久しぶりの夫の晴れ舞台を録画するつもりが、そんな我が子が可愛くてそっちにばかりカメラを向ける私……。
夫は、そりゃもう、楽しそうでした。
久しぶりで緊張していると言いながらも、ギターを掻き鳴らして大きな声を出す姿は、昔と変わらなくて。
私、どっかで、私が、夫から、音楽を奪ってしまったような気がしていて。
だけど、そんなことなくて、というかそんなこと他人にできるはずもなく、夫のそばにはずっとあって、手を伸ばせば届くところにあるんだけど、家族のために背を向けていたそれを、今、こうやって、取り戻せたんだなあ、と思ったら。
涙をこらえるのに必死です。
演奏が終わると、うちの子たち、スタンディングオベーション。
「パパがんばったね~!!」「じょーずだったよ~!!!」
照れ臭そうに「ありがとう!」と答える夫、他のお客さんからも「パパ~!」との声援、ここまでくると、さすがに、泣きましたね私。
そうなんです、うちのパパ、いいパパなんです。いろいろありましたけどね、でもね、いいパパに、なってくれたんです。
ーーー取り戻したものは、家族の成長と一緒に、喜びも大きくなっていました。
「またちょこちょこやっていいかな?」という夫。
ここでダメと答えられる人はいるのでしょうか。
「ま、ほどほどにね!私も遊ばせてもらうし!」
これからも、その時その時の、家族の「好きなこと」をやって、楽しく暮らしていけたらいいな、と思います。
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著者:うだひろえ
年齢:アラフォー
子どもの年齢:小1、年中
マンガ家/イラストレーター。愛知県生まれ。2008年『夢追い夫婦』(KADOKAWA)でコミックエッセイデビュー。『誰も教えてくれないお金の話』(サンクチュアリ出版/監修:泉正人)が30万部を超えるベストセラーに。年長男児&年少女児の子育てに奔走する生活を、ツイッターやブログで垂れ流し中。
website:http://umeyon.net
最新刊:「家事も、育児も、お金も、紙に書くだけでお悩みスッキリ!とにかく書き出し解決術!」(KADOKAWA)
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