予定帝王切開で行われた息子の出産。
緊急帝王切開だった上の娘の時とは少し違い、産後もゆっくり過ごせると思っていたのですが…
予想外の『無呼吸発作』が起こり、息子はNICUに入院してしまいました。
>前回エピソード:昼寝をすると必ず金縛りにあう…。産後の私を襲った恐怖の昼寝タイム by たんこ
そこで起こったのが
“哺乳拒否”。
カンガルーケアも出来ず、初乳すらシリンジで集めてNICUまで届ける形だった為、
哺乳瓶に慣れてしまった息子は、私の乳首を拒み続けました。
娘の時にはなかった展開に私も必死になり、泣いたら呼び出してくださいと看護師さんに懇願。
まだ痛む身体で必死に病室とNICUを往復し、隙あらば授乳に挑戦しました。
しかし、息子がNICUを出て念願の母子同室になっても、哺乳拒否は続きます。
そして夜。
どんなに必死に母乳を絞り出しても、息子は哺乳瓶を求め、大声で泣き続けました。
どうしてもくわえてくれない。泣き止まない。
疲れもピークに達し、個室であるのを良いことに、私は半ば意地になって息子におっぱいを押し付け続けていました。
するとそこに、泣き声を聞きつけた看護師さんがやってきました。
そして、少し強引に、でも確実に、息子に私の乳首のくわえ方を教えてくれました。
看護師さんに頭を把持されながらも、しっかり乳首に吸い付く息子。
張り詰めていた気持ちが、ほっとほぐれました。
そして看護師さんは、『諦めずに教えてあげるのが大事。だからまた出来なかったら、いつでも呼んでね。』と言ってくれました。
とても心強かったのを覚えています。
二時間後。
案の定、また哺乳拒否が起こりました。
でも、諦めない。眠い目をこすりながら、私は必死に息子と、自分の乳首と戦い続けました。
しかし、上手くは行きませんでした。
そこで、またナースコールを押しました。
やってきたのは、先ほどとは別の看護師さん。
私はまた、上手く授乳できない趣旨を伝えました。
すると看護師さんから出てきたのは、『え?』という驚きと、ため息の混じった言葉でした。
『こんなに泣いてるじゃない。ミルクあげればいいのよ、ミルク。』
寝不足の隠せないゾンビのような私の顔を見て、看護師さんなりに気遣ってくれたのかもしれません。
ですが、諦めずに頑張るモードに入っていた私は、少し突き放されたように感じてしまいました。
その言葉に従い、ミルクのストックされている授乳室に向かったのですが、
哺乳拒否のショックと、搾乳しても微々たる母乳へのストレスで、つい悔し涙が出てしまいました。
今ではチューインガムのように乳首を弄んでくれるまでになった息子ですが、
やはりこの入院中の出来事は、今でも忘れられない経験です。
上の娘は混合で元気に育ち、私自身、特に完全母乳に強いこだわりを持っていたわけではありませんでした。
それでも出産直後は、“初乳は赤ちゃんにとって重要”だとか、“母乳の分泌を促すには授乳させるのが一番”だとか、
授乳することの必要性を、耳にタコができるほど聞かされる時期です。
私もそれで、必死になりすぎていたのかもしれません。
二人の看護師さんは、それぞれ違う優しさで、私のことをフォローしてくださったのだと思います。
ですがその二人の流儀が正反対だと、産後の興奮と不安でいっぱいの頭は、つい混乱してしまいます。
ただでさえ大変なお仕事の最中、産科病棟は昼も夜も関係なく人が動き続けます。
そんな中で、わがままかもしれませんが…
“もう少し母乳で頑張りたい”
そんな気持ちに少し耳を貸していただきたかったのが、正直なところです。
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著者:たんこ
年齢:31歳
子どもの年齢:4歳と0歳
発達ゆっくりさんな娘と能天気な夫と、新たに加わった暴れん坊な息子と暮らす、元ひきこもりの凶暴な大根です。
instagram:@kei_mio
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