不妊外来に行ったものの予約なしでは受診できないという事をその場で知り、予約をダイレクトにするだけしてとんぼ帰りした後の事です。
前回エピソード:えっ…こんなできないもんなの? 避妊をやめればすぐ妊娠するんじゃないの? byきたあかり
受診できるのは1ヶ月後ということで、のんびり待つ日々。
その間、「子どもが出来ない体だったら、どんな風に生きていこう」とずっと考えていました。
まず頭をもたげたのは、子どもを欲しがっている夫に申し訳ないな、という気持ち。
いつか死ぬ時、「子ども欲しかったなぁ」と辛い思いをさせてしまうんだろうか?
ずっと我慢させなきゃいけないんだろうか?
もしそうなら、別れたくなくてもお別れするのが夫のためなんだろうか…と思い始めました。
子どもを産む代わりに夫にしてあげられる事って、それしかないんじゃないかな、と。でも、なかなか言えませんでした。
考えてみればみるほど、夫は大事な友達で恋人で、この先の人生を生きて行く上で、どうしても必要な人間でした。
夫の願いよりも自分の人生を優先させた罪悪感に若干胃をキリキリさせながら、ある日夫に
「子どもができなくても、一緒にいてくれますか?」と聞きました。
たぶん夫は「いるよ」と言ってくれて、心の中では数十年に渡ってずーっとモヤモヤしてて、それに対して私もずっと申し訳なさを抱えながら生きてくんだろうな…と思いながら。
夫は案の定、びっくりした顔で「えぇ!?いるよ!」と言ってくれました。
「ずっと2人でもいいし、どうしても欲しくなったら養子をもらってもいいじゃない」と。
うん、ありが、ん?養子…?
その手があったか!
それまでずっと、出産によって「いつか死んでしまう夫の遺伝子を残せる」という事に憧れがあったのですが、
夫は"自分の遺伝子を残したい"というよりは、「お父さん」になってワイワイした家庭を作りたかったんだな、とその時気付きました。
血縁関係のないひとりの人を、一生責任をもって慈しんで、育てて、本当の家族になっていくのは並大抵の事ではないだろうけれど、
「2人で1人の人間を育てていく」というのは自分にとっても憧れの未来像だったので、たとえ子どもが産めなくてもその部分は実現する手段があるのか…と思うと、だいぶ心が楽になりました。
夫とこの件について話し合った時、養子縁組というルートがある事も嬉しかったのですが、
「ずっと2人でもいいし」と言ってくれたのがとても嬉しかったのを覚えています。
血縁のない他人である私を家族として大事に思ってくれるこの人なら、血縁のない子どもも同じように、本当の家族として愛してくれるだろうな、と思えました。
家族のかたちは色々だけど、
家庭を形成する上で最も大事な基盤となるのは夫婦仲なのかもしれない、と思った出来事でした。
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ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:きたあかり
2016年6月にムスメを出産し、生後2ヶ月ごろからインスタで育児絵日記(@kita.acari)をつけています。ムスメの寝顔を見ながら寝落ちするお昼寝タイムが至福。
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