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21週での出産

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私が初めて妊娠したときの体験をお話します。とてもとても、悲しい出産です。

 

なにも問題なく、順調でした。仕事も休まず続けられており、たいしたつわりもなく、検診もいつもさらりと終わっていました。

初めて出血したのは5ヶ月中頃。お正月でした。念のため受診するも赤ちゃんは元気で、そのまま家に帰りました。しかしその数日後、出血量が増加し再び受診。大きな問題はないが入院をして少し安静に過ごしましょうと言われました。

入院中は24時間点滴と安静で辛かったですが、毎日数回赤ちゃんの心音を聞かせてもらえ、安心することができました。2週間経つ頃、出血量が少し落ち着いたので退院の許可をいただきました。退院前に診察をしてもらい、入浴の許可ももらって喜んで退院しました。病院の助言もあり実家でしばらく過ごさせてもらうことにしました。20週と6日でした。

 

退院した日の夜、実家で久しぶりに入浴しました。その時、なんだかすごくお湯が熱く感じました。疲れもあり、早めに就寝しました。

夜中、ひやっとして目を覚ましました。なんだかおしもが濡れている…?たくさん出血したのでは??とドキドキしながら電気をつけて確認するも、ただ濡れているだけで出血はありません。出血を理由に入院してた私は、そこで「出血じゃなかった、よかった」と、着替えてそのまま眠りました。

しかし今度は周期的な痛みが襲ってきました。初めての妊娠の私には、破水も陣痛も思い付かず、重要視しませんでした。ひたすら「痛みは我慢します。どうかこの子を守ってください」そう願っていたのを覚えています。両親も寝ているし、寒いし…と朝まで痛みに耐え続けました。

 

朝方、トイレに行くと出血がありました。昨夜はなかったのに…と不安になり、母を起こし「出血したから病院に連れていって」と頼みました。しかし痛がる私をみて、母の顔が青ざめました。

 

病院に着くと「破水して羊水がほとんどない。羊水がないと赤ちゃんは動けないし、苦しい。助からないかもしれない」と言われました。「ご主人を呼んでください」私は怖くて涙が止まりません。痛みはどんどん強くなっていきます。念のため、大きな病院に行って診てもらいましょうと提案を受け、救急車で移動しました。私はその頃には40℃近い高熱が出ていました。

 

一縷の望みに託しましたが、転院先の医師も同じ見解でした。

·感染症にかかっており、それが原因で破水して陣痛が始まっている。このままでは生まれてきてしまう。

·もし今出てきても、22週未満の赤ちゃんは流産とみなされ医療処置はできない。

·点滴で一週間お腹の中にいてもらえば、出てきてからの処置は可能だが、羊水がほとんどない中で一週間過ごすので重大な後遺症が残る。すぐに亡くなる可能性も高い。また、今の状態で一週間過ごすので母体への負担もかなり大きい。

·今後の妊娠ができるかの影響もあるかもしれない。

 

以上のような説明をした上で、妊娠を継続するのか、終了するのかの選択を迫られました。

選択肢は、あるようで、ない。そう思いました。涙と陣痛と高熱で、すごく呼吸が苦しかったです。

 

私は夫を父親にしたかった。

重大な障害を持つ子を育てていく覚悟も、そんな瞬時にはできませんでした。

でも、その決断を口にすることができなかった。理解した夫が、部屋を出て医師に伝えに行ってくれました。

 

その後は点滴を外し、赤ちゃんが産まれてくるのを待ちました。そして、静かに静かに、500gほどの女の子を出産しました。

赤ちゃんは動いていました。口をパクパク手をパタパタ。とてもかわいい顔をしていました。夫も私も、抱っこをさせてもらいました。

無知な私は、説明を受けて理解していたはずなのになぜか「生きてる!助けてもらえる」と思いました。一度抱っこしただけで、すぐに娘を看護師さんに渡しました。きっと酸素や点滴につながれ、少しでも長く生きられるよう助けてくれると思ってしまいました。だって命があるのだから。そして眠ってしまったのです。

 

目が覚めた私は、ナースコールを押し「赤ちゃんに会いたい」と伝えました。看護師さんは少し驚き「ちょっと待っててくださいね」と言い、箱に入った赤ちゃんを連れてきてくれました。そこで私は驚愕します。赤ちゃんは、すでに凍っていました。

無事に産んであげられなかったことも辛かったですが、最後の時間を一緒に過ごせなかったことが最大の後悔として5年経った今も胸を締め付けます。息絶えるその時まで、いっぱい抱きしめてあげればよかった。声をかけてあげればよかった。一緒の布団で寝ればよかった。写真や手形を残せばよかった。

 

それからしばらくは人に会うこともできず、ただひたすらに暗闇の中にいました。娘の事を考えるのが辛くて、そんな自分が嫌でした。無事に産んでもあげられなかったのに、思い出すのも嫌なんて、なんてひどい母親だろう、と落ち込みました。

でも、周りの支えがあり少しずつ立ち直りました。両親や友人、たくさんの人が涙を流してくれました。そのことで自分がどんなに幸せなのか、気がついたのです。

 

妊娠中の皆さん、

食べ物や衛生面に気をつけ、幸せな出産をしてください。

22週未満の赤ちゃんは助けてもらえないことを、知っていてください。

どうしようもなく悲しい出産をした場合、最後の時間を大事に過ごしてください。

 

この経験をお伝えすることで、このような思いをする人が一人でも減る事が、この子が私のところに来た大きな意味合いだと思っています。

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著者:ほこのなかつ

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