根が楽天家だという筆者のしのむさん。そんな彼女でも妊娠初期は、心拍確認ができるまでかなり緊張したようです。
上記の記事でしのむさんが「胎嚢が無事に確認できても、もし子宮外妊娠だった場合、心拍を確認することは出来ないから」と心配していますが、「心拍確認」と「子宮外妊娠」の関係性について産婦人科医で田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山先生に伺ってみました。
Q:しのむさんは、「心拍確認=妊娠初期に行う健診の中で大きなポイント」と考えているようですが…
A:そうですね。どの健診項目も大切ではありますが、健診で心拍が確認できると流産の確率はグッと少なくなるといわれています。そういった意味で1つの大きなポイント」であると言えるでしょう。ただし、確率が少なくなるだけでゼロになるわけではありません。
一般的に妊娠5週で胎嚢が、6~7週で心拍確認をすることができます。
Q:「子宮外妊娠」とはどんな状況でしょうか
A: 受精卵が子宮内膜ではないところに着床してしまうことです。主に卵管の膨大部に着床することが多く、まれに卵巣、子宮頸管、腹膜などに着床することがあります。
下腹部痛や性器出血などの自覚症状が出ることもありますが、何もなく健診で見つかるケースもあります。痛みは個人差があり、生理痛のような人から立っていられないほどの痛みを感じる人までさまざまです。
子宮のように受精卵が大きくになるにつれ大きくなったり、胎盤を作ってママの体から赤ちゃんへ栄養を運ぶことができないため、妊娠継続はできません。子宮外妊娠したまま放っておくと、卵管流産や卵管破裂を起こし、時にはママの命にもかかわることも。
妊娠検査薬で陽性になった場合は、できるだけ早めに医療機関を受診し、正常妊娠か確認することが大切です。
Q:記事内に「胎嚢が無事に確認できても、もし子宮外妊娠だった場合、心拍を確認することは出来ないから」とありますが、このようなケースの場合も子宮外妊娠の可能性はありますか
A: 超音波で子宮内に胎嚢が確認できている場合、子宮内に着床しているということなので、子宮外妊娠の可能性はありません。
本当にごくまれにたまたま2つ受精卵ができ、1つは子宮内に着床したが、もう1つが卵管など子宮外に着床してしまうというケースがあるようです。
そういった場合は、上記のようなケースも考えられますが、まずは無いと考えてよいでしょう。
Q:通常、胎嚢が確認できたのに心拍確認ができないのはどんな時でしょうか。
A:まずは流産になっている場合です。
胎嚢が見えても途中で胎芽の成長が止まってしまうと心拍確認ができません。
次に健診を受けた日が早すぎた場合です。
最初に述べたように通常、胎嚢は妊娠5週ぐらいで、心拍確認は妊娠6~7週で確認することができます。
ただ、たまたまその周期の排卵が遅れたりすると、最後の生理初日からカウントして6週を過ぎていても確認できないケースもあります。
その場合は翌週などに来院してもらい、心拍を確認できるか診察を行います。
Q:杉山先生が健診で「子宮外妊娠かな」と考えるのはどんな時でしょうか。
A:妊娠反応があるのに超音波で子宮内膜内に胎嚢が見えない時に子宮外妊娠の可能性を考えます。
妊娠するとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されます。血液検査や尿検査でホルモンの分泌が確認されているのに、子宮内に胎嚢が見えない場合に子宮外妊娠の可能性を考えます。
その場合は、下腹部痛や性器からの出血の有無などの症状、超音波で卵管や卵巣付近などに異常が見られないかを確認したうえで診断を行います。
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杉山太朗先生
医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。
2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。
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