子どもが成長し、お世話しなきゃいけない時期を過ぎると、今度は子どもがやる様々なことをうまいこと「サポート」しなきゃいけないことが増えました。
いろんな経験、繰り返すトライ&エラー、成功する喜び、育まれる強い心、優しい気持ち。
うまくやるためには、親はどっしり構えて、あたたかく見守り、余計な口出しをしないでおくことが大事、なんだそうですが……。
これが難しい。
何度も失敗してイライラしてる子どもを眼の前にして、ついアレコレアドバイス。
しぶしぶその通りやってみる子ども、しかしうまくいかず、「いやいやいやいや、違うでしょ、こうでしょ」アドバイスの上塗り。
どんどん削られていく子どものやる気。あ、しまった、と気づいた時には後の祭り……。
そんなことを繰り返してきて、今は、出来るだけ口出し無用で、言葉を飲み込むようにはしているのですが。
先日。年長さんの娘が、自分のおこづかいで買いたいものがある、と言ってきました。
お手伝い1回につき10円のおこづかい、コツコツと数ヶ月貯めてきたものです。
ぎっしりの10円玉、両替したら千円ちょっとになりました。
「おお~いいね!好きなものに使ったらいいよ」と、応援しながら、私も一緒におもちゃ売り場に同行。
「何を買いたいの?ちなみに千円だと、これとか、これとか買えるよ」と娘の好きなリ●ちゃんやプ●●ュアのエリアで1,000円以下のものを指さすと、娘はそこを素通りして、ワゴンに積まれたカプセルトイを指差し「これがいい」。
私の知らないおもちゃでした。動画で見たのかお友達が持っているのか、しかしカプセルトイなら1個350円くらい?2・3個買えるかな?と思いながらよく見ると、「1個1,000円」
「は!?」お店の中だというのに声が出ました。
しかし続く「高ッ!!嘘でしょ!?何かの間違いじゃないの!!?」という叫びは飲み込みました。
ネットで調べると、1個1,000円、現実でした。うう、信じられない。
「ねえ、これ、一個1,000円だよ。いいの?おこづかいなくなっちゃうよ」
「うん」
「他のなら2・3個買えるけど、いいの?」
「うん」
「これ、何が出るかわからないんだよ」
「しってる」
「そう……」
何度も確認しましたが、本人の意思は固く。
あまりの耐えられなさに手が震えましたが、口をつぐんでレジに並んで、支払いをサポートしました。
家に帰って中身を開けると、その小ささに「これが1,000円!!!」と叫びそうになるのを堪え。
満足げだった娘もすぐに飽き、床に転がるそのおもちゃを見て「費用対効果!!!!」と叫びたくなるのも耐え。
そんな、私の人生史上、最高に「言葉を飲み込んだ」機会でしたが。
叫びたくなるたびに思い出して、なんとか乗り越えられた、魔法の呪文があります。
それは、「ナニゴトモ、ケイケン」
何事も、経験!
きっとこの経験で、娘は、お金の大事さ、ものの価値、そういった大人でも見失いがちな重要なこと、わかるはず!
いや、まあ、年長さんでいきなりそこまで理解できるかどうか、だけど、足がかりにはなってくれそう!!
そう信じることで、喉まで出かかった言葉を飲み込むことができました。
その後、娘はまた同じものを欲しいと言いましたが「そうだね、でもおこづかいなくなっちゃったもんね」と話すと、自分なりにどうするか考えて、いそいそとお手伝いをし始めたり。
私が小言を飲み込んだ分、子どもが成長してくれるなら、唇噛んで口をつぐもう、と思ったのでした。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:うだひろえ
年齢:40代
子どもの年齢:小2と年長
website:http://umeyon.net
最新刊:「大学4年間の経営学がマンガでざっと学べる」(マン
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。
この作者の過去記事