わたしは食べづわりだったのですが、においにも相当苦しめられました。
うわさには聞いていたものの、息を吸うのが耐えられないほどにおいに過敏に。
すべてのにおいがわたしを包み込んで襲ってくるような感覚でした。
運の悪いことに、二人暮らしのわが家はワンルーム。
玄関だけは扉があるのですが、家の中の全ての匂いは、わたしが横たわるベッドと同じ空間に漂っているのです。
個室がほしいと心の底から思いました。
とくにきつかったのが、やはり食べ物の匂いです。
のどが渇いてお茶を飲みたくても、冷蔵庫を開けるのが一大事。
息を止めてサッととって、においが部屋にもれないように一瞬で閉めます。
そんな状態なので、料理などもってのほか。
ところがある日事件が起きました。
今までに感じたにおいの中で、最悪のにおいがただよってきたのです。
気持ち悪くて耐えられず、頭がおかしくなりそうなほど。
夫がブロッコリーを茹でているにおいでした。
「妊娠初期に大切な葉酸が豊富らしいよ」と言う夫。
でもそんなの知ったことではありません。
ワンルームに充満するブロッコリー臭。
わたしは耐えられず「なんてことしてくれてんだよ!!」と叫んで、家を飛び出しました。
良かれと思ったのに、まさか罵声を浴びて家出されるとは思わず困惑する夫。
わたし自身、なにも家を飛び出さなくても・・・と今になれば思うのですが、その時はパニック状態におちいっていたようです。
夫は自炊が好きなのですが、家出騒動のあとはほぼ外食かお惣菜にしてくれていました。
米を炊くにおいはとくに耐えられなくて、玄関に炊飯器を設置して炊いていました。
お惣菜もチンするとにおうので、冷たい状態で食べてくれました。
「一時的なことだから気にしないで」「食べられるものはあるかい」と、夫は神のようにやさしくしてくれたのです。
1ヶ月半ほどして冷蔵庫のにおいを感じなくなったとき、わたしのつわりは終わりを迎えました。
後日夫と話していたら「〇〇君は、奥さんがつわりの時に『あんたのにおいが耐えられない!』って言われたらしいよ。かわいそうにね」と。
ごめん、それ思ってた・・・!!
神のような夫に申し訳ないから絶対言わないようにしてたけど、耐えられないほどにおってましたよ!!
つわりが終わればブロッコリーもおいしくなり、夫も落ち着くいつものにおいに戻りました。
あんな衝動的な行動に出るほどにおいに過敏になるなんて、やはりつわりはおそろしいです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:かめかあさん
年齢:30代
子どもの年齢:0歳
2019年8月に男の子(ごんさん)を出産しました。結婚10年目ののんびり夫婦+7歳のリクガメ+新入りごんさんで楽しく暮らしています。妊娠中からインスタグラムで絵日記を描いています。
インスタグラム:@kamekaasan
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