まきこんぶさんは、妊娠7カ月の時に謎の微熱が続き、その後「手足口病」にかかっていたことがわかりました。
まきこんぶさんがかかった「手足口病」とはいったいどんな病気なのでしょうか。
診断をしてくれた皮膚科医から「おなかの赤ちゃんへの影響はない」と言われたそうですが、本当に影響はないのか、他の人にうつしてしまう可能性などについて、産婦人科医で田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山先生に聞いてみました。
Q:「手足口病」とはどんな病気でしょうか
A:エンテロウイルス71あるいはコクサッキーウイルスA6、A16 などによって引き起こされる急性ウイルス感染症です。主に夏に流行し、0~4,5歳くらいまでの乳幼児に多くみられる病気ですが、大人も感染することがあります。
Q:どんな症状があらわれますか
A:経口、飛沫、接触などによって感染し、潜伏期間は3~4日程度といわれています。
感染してから数日後に口や手、足などに2~3mmの水ぶくれのような発疹があらわれるのが特徴で、発疹に痛みを感じる人も。発熱することがありますが、高熱にはならずほとんどが微熱程度です。
特効薬はなく、かかったら安静にすることがポイント。
発熱や発疹など「手足口病かな」という症状が見られた時は、まずかかりつけの産婦人科に連絡をし、何科を受診したらいいかを相談してみてください。他の妊婦さんにうつす可能性があるので、いきなり来院するのは避けましょう。
Q:記事に「大人がかかると重症化する危険性もあるので注意が必要だそうです」とあるので心配です…
A:大人がかかると子どもよりも重症化するという明らかな根拠はありません。
ただ、大人だとかかりづらい手足口病になってしまうということは、体全体の免疫力が下がり、状態が芳しくないということ。そのため「とてもだるい」「倦怠感がとてつもない」など、普段と比べてとてもつらい=重症に感じる人がいるのでしょう。
まれに髄膜炎や脳炎など中枢神経系の合併症を引き起こすことがあるので要注意ですが、ほとんどの場合は、発症から5~6日で症状が無くなります。
Q:本当におなかの赤ちゃんへの影響はないのでしょうか
A:妊婦さんが手足口病にかかってもおなかの赤ちゃんに影響することはありません。
ただし痛みを感じる時は、市販の鎮痛剤を服用するのではなく、必ず妊娠していることを伝えたうえで医師に薬を処方してもらいましょう。
Q:「感染する病気ではあるけれど、インフルエンザのように規定があり原則休まなければならない病気ではない」とありますが、通常、どの程度になったら外出OKですか
A:熱が下がり、発疹の痛みなど不快な症状が消えたら外出してもいいでしょう。でも口からは発症後1~2週間、便からは1カ月程度ウイルスが排出されています。
他の人にうつさないためにも食べ物や飲み物の交換は避けて。また、トイレの後は手をしっかり洗うように心がけてください。周りに妊婦さんや乳幼児がいる場合は、できるだけ接触しないよう配慮を。
Q:手足口病にならないためにはどうするのがいいでしょうか。
A:できるだけ感染した人と接触しないようにすることが大切です。
一般的な風邪予防と同じで、食事の前や帰宅後、トイレの後はしっかりと泡立てた石けんで手洗いをし、こまめにうがいをするようにしましょう。
また手指のアルコール消毒も有効です。
もし妊娠中に手足口病にかかってもおなかの赤ちゃんに影響を与えることはありません。多くは数日で症状も無くなるので、過度に心配せず、安静にして体力回復につとめてくださいね。
杉山太朗先生
医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。
2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。
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