長女を急遽、帝王切開で産むことになった白目みさえさん。そのせいか出産前は不安で頭がいっぱいに…。
それゆえ「帝王切開後、しばらく妊娠は控えて」という産婦人科医の言葉も忘れ、長女が生後7カ月の時に第2子を妊娠!
受診した産婦人科医から「出産するころには1年経っているから…まあ大丈夫だと思うけど」という前置きがありつつ、心配になるようなことも言われたそうです。
そこで、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山先生に「なぜ帝王切開後はしばらく妊娠を控えた方がいいのか」、「帝王切開後にすぐに妊娠した時はどんなことに気を付けたらいいか」をレクチャーしてもらいました。
Q:帝王切開後、しばらく妊娠を控えた方がいいのはなぜですか。
A:帝王切開の場合、赤ちゃんを取り出すために子宮を切り開き、取り出した後にその部分を縫い合わせますが、しっかり子宮の傷が修復されるまである程度の時間が必要になります。
でも、しっかり修復される前に妊娠してしまうと、赤ちゃんの成長にともなって傷部分も伸ばされることになり、たまにその部分が裂けてしまい、「子宮破裂」というトラブルを引き起こしてしまうケースがあります。
子宮破裂が引き起こされると、大量出血など母子ともにきわめて危険な状態になるので、注意が必要です。
帝王切開をしていなくても子宮破裂を起こす可能性はありますが、経腟分娩の人と比べると、帝王切開での出産経験がある人の方が起こす可能性が高くなります。
Q:帝王切開後、次の妊娠まではどの程度あけるのがいいのでしょうか。
A:次の妊娠判明までだいたい1年くらいあけるのが望ましいでしょう。
ただ、年齢的に「1年も期間をあけられない…」という方もいるかもしれません。その場合は最低でも半年はあけるようにしてください。
Q:白目みさえさんのように1年を待たず妊娠した場合、妊娠中どんな点に気を付けたらいいのでしょうか。
A:主に以下のことに気をつけるようにしてください。
1)定期健診をきちんと受診し、妊娠経過に注意を
帝王切開をはじめ子宮の手術を受けたことがある場合は、胎盤の位置が通常よりも下(子宮口近く)になり、不正出血や出産時の大量出血のリスクが高まる前置胎盤になりやすいといわれています。胎盤の位置はエコー検査でわかるので、健診時に確認してもらってください。
記事内で医師から「陣痛が来たら破裂するから陣痛来ないようにしてね」、「羊水増えすぎると破裂するから気をつけて」などと言われ、白目みさえさんは不安に感じたようですが、きちんと健診を受けることで子宮破裂につながるような異変やトラブルを察知できることもあります。
過度に心配せず、決められた健診を受け、医師からの指示に従うことが大切です。
2)分娩する医療機関の方針を事前に確認
安全面を考えて「前回、違う医療機関で帝王切開した人はNG」という方針の病院もあります。
もし、前回と出産する医療機関を変える場合は、事前に前回の出産が帝王切開だったこと、1年をあけずに妊娠したことを伝え、分娩可能か確認しておくといいでしょう。
帝王切開で出産した場合、次の妊娠、出産を安心して迎えるためにはやはり1年ぐらい間をあけることが大切です。
出産から生理の再開までの期間は個人差があり、早い人だと出産から2~3カ月で来る人もいます。
また、生理が来なくても排卵していることがあるので、「生理が来ていないから大丈夫!」と思わず、帝王切開後は、1年経過するまでは避妊をするようにし、自分の体(子宮)をいたわってあげましょう。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
杉山太朗先生
医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。
2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。
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