前回は、泣かない赤ちゃんへの処置を震えながら見ていたところまで書きました。
しばらくたってようやく赤ちゃんのか細い泣き声が一度だけ聞こえました。
一瞬連れてきてもらった赤ちゃんは右目だけ開けていて、ウインクしているようでした。「ママ、だいじょうぶだよ。」と言っているように見えて、少し不安が和らぎました。
心配は消えてなかったけれど、それでもほっぺに一瞬触れることができ、きっと大丈夫だ、と思っていました。
その後「すぐには会えませんが、明日14時にNICUで面会できますよ。」と言われました。看護師さんからもらった赤ちゃんの写真を胸に、なんとか自分を落ち着かせた夜。
しかし翌朝、またしても予想外の事態に。
県で一番大きな病院へ転院することになったと知らされました。
この病院の設備では一晩治療しても良くならなかったと…。
まともに赤ちゃんを見る前に、離れ離れになってしまいました。
診断は「胎便吸引症候群」。
なんらかの理由で赤ちゃんがお腹の中で便をし、それを吸い込んでしまったことにより、自発呼吸が出来ない状態にあるとのこと…。
処置の際に見たチューブの中の黒いものは、吸い込んでしまった便だと分かりました。
のちに知った事ですが、この病気の中でも特に重症で一刻を争う状況でした。
「赤ちゃんが少しでも元気になるために、必要なことなんだ。」
頭では分かっていても、気持ちが追いつきませんでした。
6人部屋に響く他の赤ちゃんの声に、嫌な気分にはなりませんでした。
泣き声も、くしゃみも、しゃっくりも 本当にかわいくて、自分の赤ちゃんのことを想像して癒されました。
看護師さんからもらった赤ちゃんの写真は、全身動かないように固定され、チューブだらけの痛々しい姿。
でも、とってもかわいくて「たれまゆはパパ似だな〜」「鼻はママかな〜」「小さいおててだな〜」とずっと眺めていられました。
でも、ふと「なんでこんなことに…」
「私が泣いたから酸素が足りなくて、苦しくなっちゃったのかな」
「なんで私は1人でここに入院してるんだろう」
と答えのないことを考え、涙が出ました。
次回、辛い入院生活の中、初めての面会へ。
著者:りんりんまま
年齢:20代
子どもの年齢:2歳
薄毛ガールりんりんとひょうきんパパをこよなく愛する、田舎の主婦です。平凡な毎日の幸せを忘れないように、思い出して笑えるように。インスタとTwitterにて育児絵日記を残しています。
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