赤ちゃんが生まれて初めてかかる病気といわれることが多いのが「突発性発疹」。1歳前後の赤ちゃんを持つママたち同士で「もう突発性発疹やった?」という会話をしていることもよくあります。
「発疹」と病名についているので、発疹を伴う病気というイメージを持っている人も多いでしょう。今回の体験記の筆者、チーコさんも長男が1歳1カ月の時、初めて39℃の高熱を出した際、「あれ?これって突発性発疹かも」と思い、病院を受診。その際に医師から「熱が下がって発疹が出たら突発性発疹ですね」といわれ、「やっぱり…」と思ったそう。その後38℃以上の熱が4日間続き、5日目にようやく解熱。そこで、長男の体に発疹が出ているか確認したところ、発疹が出ていなかったので、ちょっと気持ちがモヤモヤしてしまったそうです。
いったいチーコさんの長男は突発性発疹だったのか、そもそも突発性発疹とはどんな病気で、かかった場合のケア方法などを、小児科医で、クローバーこどもクリニックの院長をつとめる眞々田容子先生に教えていただきました。
Q:突発性発疹とはどのような病気でしょうか。
A:ウイルス性の病気で、風邪の一種です。1歳前後の子どもに多く見られます。
突発性発疹という病名がついているのですが、ウイルスに感染することによって引き起こされる病気で、一般的に「風邪」とよばれるものの1つです。1歳前後の子どもがかかることが多いですが、まれに3歳ぐらいでなる子もいます。
Q:一般的にどのような症状がみれますか。
A:39℃以上の高熱が3~4日続き、解熱後におなかや背中などに発疹があらわれます。
39~40℃の発熱が3~4日続き、解熱後におなかや背中、顔などが赤い発疹が出ます。発疹と言ってもでこぼこした赤いでこぼこしたブツブツが出るわけではなく、おなかや背中に細かい赤みが出る感じです。かゆみはなく、数日(4-5日程度)で自然と消えてなくなります。
Q:チーコさんの長男のように熱が下がっても発疹が出ない場合もありますか。
A:発疹が出ないこともありますし、別の風邪の可能性もあります。
突発性発疹にかかわらず、ヒトの体は、初めて出会ったウイルスに対して反応し、その結果、発疹などの症状があらわれことがあります。症状の現れ方も個人差があるため、わかりやすく出る子もいれば、「これって発疹なのかな」と思うくらい控えめに出る子や、なかには発疹が出ない子もいます。
チーコさんのご長男の場合、突発性発疹だったけれど発疹が出ないタイプだったのか、突発性発疹だと思っていたけれど、他の風邪だったのかは厳密にはわかりませんが、解熱して元気になったのであれば、問題ないでしょう。
Q:突発性発疹かどうかはどうやって診断されますか。
A:解熱後に顔や体に発疹が出たかで診断します。
チーコさんの主治医も診察時に言っているように、熱が下がって体に発疹出たら、そこで突発性発疹と診断されます。なので、それまでは突発性発疹かどうかははっきりわかりません。
Q:「突発性発疹かも…」と思ったらどうしたらいいでしょうか。
A:かぜの一種なので、同じ対応で大丈夫です。こまめに水分補給を行い、水分がとれて眠れるようなら診察時間内に受診を。
上記でも述べたように3~4日38℃以上の高熱が続くことが多いので、赤ちゃんの様子を見ながらこまめに水分補給などを行い、脱水症にならないように注意してあげてください。水分が取れておしっこがいつも通りにでている、睡眠がとれているようなら診察時間内に受診を。
もし、いつもと違ってぐったりしている、意識がもうろうとしている、けいれんをおこしている場合は、熱性けいれんの可能性があります。けいれんが5分以上続く場合は、救急車を呼びましょう。
Q:突発性発疹と、他の発疹をともなう病気と間違えてしまうことはありますか。
A:発疹をともなう「はしか(麻疹)」や「風疹」は発熱している時に発疹が出ます。
子どもがかかりやすい病気で発疹を伴う病気にはいくつかあります。ただ、大きなトラブルを引き起こす可能性のある「はしか」や「風疹」などは、突発性発疹と違い、発熱している時に発疹が出るので、間違えることはないと考えていいでしょう。
赤ちゃんが高熱を出すと、ママとしては心配になってしまいますよね。突発性発疹かどうかは解熱してみないと判断できませんが、仮に突発性発疹だったとしても怖い病気ではないので安心してください。逆に発疹が出なかったとしても、3~4日後に解熱して赤ちゃんが元気になれば大丈夫です。
発熱中は、こまめな水分補給を行い、睡眠をしっかりとれるようにしてあげましょう。赤ちゃんの様子を観察していつも以上にぐったりしていないか確認を。もし、3~4日経過してもまだ熱が高いママの場合は、再度受診してみてください。
困ったり、判断に迷うことがあったら、ママ1人で悩まずにかかりつけの小児科医などに相談してみてくださいね。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
眞々田容子先生(クローバーこどもクリニック 院長)
小児科医。2001年、信州大学医学部卒業後、同大学付属病院小児科、市立甲府病院、帝京大学医学部附属溝口病院小児科、賛育会病院小児科・新生児科医長を経て2015年にクローバーこどもクリニック院長に就任。ママドクターとして、子どもの健康はもちろん、ママの育児の悩みにも寄り添い、アドバイスや相談にも乗ってくれる。
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