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【助産師監修】ママの食生活がボロボロでも赤ちゃんには母乳を飲ませた方がいいの?助産師の浅井貴子先生に聞いてみました!

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白目みさえさんは、出産後、すぐにたくさん母乳がでたわけではなありません。

 

そういった事情にプラスして、早く仕事復帰する予定だったこともあり、出産直後から母乳と粉ミルクで赤ちゃんを育てていたそうです。最初は純粋にその2つの理由だけで混合栄養にしてたそうですが、慣れない子育てで自身の食事時間が充分とれない日々が続き、気づいたらほぼ毎日毎食「塩むすび」しか食べていないという状況に!

その時に「貧相な食生活を送っているママから出る母乳って果たして栄養ってあるのか。栄養面が足りないからむしろ『粉ミルク足すべき』なのでは」と考えるようになったそうです。

 

 

そこで、母乳について詳しい助産師の浅井貴子先生にママの食生活と母乳に含まれる栄養の関係性や、授乳中の食事についての注意点を教えてもらいました。

 

Q:母乳にはどのような栄養が含まれていますか。粉ミルクよりも推奨されているのはどんな理由からでしょうか。

A:母乳の主な成分はたんぱく質や脂質、糖質など。粉ミルクに含まれていない「免疫」が含まれているのが大きな違いです。

 

母乳には、赤ちゃんが健やかに成長にしていくのに必要不可欠なたんぱく質、脂質、糖質などが主に含まれています。これらは粉ミルクにも含まれている栄養です。

ただ生まれたばかりの赤ちゃんをあらゆる病原菌から守ってくれる「免疫」は、母乳にしか含まれていません。もともとママのおなかの中にいる時は胎盤からママの免疫をもらっていますが、出産後はママのおっぱいからもらうことになります。ちなみに免疫がとても多く含まれているのは初乳で、出産から時間が経つにしたがい、母乳に含まれる免疫も減っていくといわれています。

 

Q:体験記の白目さんのように毎食塩むすびで済ませているママでも母乳を飲ませていて大丈夫でしょうか。

A:大丈夫です。塩の量を加減してください。

白目さんに限らず、出産後、とくに退院した後は自分の体もまだ本調子ではないところに、慣れない子育てをすることになるため、ママ自身のことに手が回らないこともありますよね。

何も食べない状況は母乳にとっても良くない状況ですが、白目さんが食べているおにぎり(米)は、たんぱく質と糖質が含まれているので、体を動かすエネルギーに代わりやすくしてくれるので、いいと思います。塩むすびということなので、塩のつけ過ぎに注意しましょう。

 

 

Q:白目さんのような新米ママの栄養事情を改善するテクニックやプラスした方がいい食材がありましたらお教えください。

A:おにぎりなら何か具を入れて。さらに汁物があるといいでしょう。

白目さんが食べていたおにぎりは、忙しいママでも手軽に食べることができるので、いいと思います。

ただ、塩むすびのままだとたんぱく質が足りないので、ツナマヨやとりそぼろなどを具としてプラスするといいでしょう。具も手作りしている時間が取れない時は、市販されているツナマヨの素などを活用してください。炊き込みご飯をつくり、それをおにぎりにしておけばいろいろな食材を手軽に食べることができます。たきこみご飯の素もレトルトで市販されていて、炊いたご飯にまぜるだけで簡単にできます。

さらに体をあたためるスープかみそ汁などの汁物をプラスできるとよりいいメニューになります。

 

Q:白目さんのように自分の母乳の栄養に自信が無い場合、粉ミルクを栄養補助として活用してもいいでしょうか。

A:NGではありません。ただ、「粉ミルクを併用しているから」と、ママがジャンキーな物を食べていいわけではありません。

 ママの栄養状態が多少悪くなったとしても、母乳の栄養成分は、ある程度一定に保たれています。要するに野菜をちょっとしか食べられなかった日と、豊富に食べられた日でも母乳に含まれる栄養量はさほど変わらないので、「今日は野菜がほとんど食べられなかったら粉ミルクを足さなきゃ」と、神経質にならなくても大丈夫です。

むしろ「粉ミルクを足すから何を食べても大丈夫!」と考え、ママの食生活が乱れる方が良くありません。粉ミルクの栄養に頼りきらず、妊娠、出産前まで食生活が乱れていた人は、これを機に見直すように心がけましょう。

 

Q:授乳中に食べない方がいいものはありますか。

A:アルコールはNG。辛いものなどの刺激物は避けましょう。それ以外は栄養バランスがとれていれば何を食べてもOKです。

明らかにNGなのは、アルコールです。また、辛いものをはじめ刺激物もできるだけ避けた方がいいでしょう。

かつては油物やケーキなどの甘い物、高カロリーの物はNGといわれたこともありました。でもこれらの物を食べて胸が張るか、母乳がつまるかは、個人差があり、乳腺の太さ、細さによって異なることがわかっています。そのため、今は厚生労働省の食生活指針でも「栄養バランスが取れているなら、上記2つのもの以外なら何でも食べてOK」としています。

 

Q:白目さんのように自分の母乳の栄養が足りているか不安な場合、どこに相談したらいいでしょうか。

A:各自治体の保健センターに相談してみてください。

各自治体の保健センターには、栄養士さんがいるので、母乳の栄養が足りているか、授乳中の食生活のことについて相談することができます。また、出産した病院が総合病院で、栄養課という部署がある場合も相談することができます。

また、栄養バランスの良い食事を心がけていても母乳が詰まった、出ないなどのトラブルが生じた場合は、出産した病院の母乳外来や保健センターの保健師さんに相談してみてください。

 

初めての育児は、とても大変ですよね。「どこか時間を削れるところないか」と考え、自分の食事時間を削る人も多いでしょう。だからといって何も食べないのはよくありません。何か胃袋に食べ物をおくようにしましょう。白目さんのようにおにぎりでもいいし、パンやプロテインでもOKです。この時期は、市販のものやレトルトなどを上手に利用して乗り切ってくださいね。

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浅井貴子先生

助産師。大学病院、未熟児センター勤務の後、現在近隣の行政で、母親学級、育児相談、新生児訪問などを行なっている。また妊婦さん対象のアロマ教室を開講しあり、産後ケア施設の監修も手掛けている。妊婦水泳&マタニティーアクアビクスのインストラクターとしても活躍中。産後ケアホテルマームガーデンの監修も務める。