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【医師監修】漢方を取り入れた治療って?西洋医学との違いなどを西洋、東洋どちらも取り入れた育良クリニック院長が解説!

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Taroさんは37歳で結婚。結婚後、半年ほど経ってから妊活を始めたそう。最初は自己流でやっていましたが、そのうち産婦人科へ通うようになりました。ご自身の性格もあり、先生にわからないことなどをうまく聞けずにモヤモヤした日々を過ごしていたそうです。

そんな時、旦那さんの後押しもあって漢方を用いた治療をしてくれる不妊クリニックを訪れたそうです。

 

 

 

漢方を取り入れた診療を受けてみたところ、Taroさんは、今まで感じていたモヤモヤがスッキリしたそうです。でも「東洋医療ってどんな治療されるの?」と不安に思っている方もいるでしょう。

そこで、そもそも漢方を取り入れた治療とはどんなものなのか、西洋医学との違い、漢方を取り入れた診療を受ける際の注意点などを、開院当初から西洋医学と東洋医学の特徴を取り入れた診療をおこなっている育良クリニック院長の浦野晃義先生に教えていただきました。

 

Q: 西洋医学と東洋医学(漢方の考えを取り入れた医学)、それぞれの特徴を教えください。

A: 西洋医学は患部を直接治療する方法、東洋医学は体質を改善して体の中から患部にアプローチする方法が基本です。

産婦人科や内科などの科目にかかわらず西洋医学は、薬剤や手術などにより患部を直接治療する考えが基本になっています。たとえば生理痛や月経不順に対してホルモン治療、PMSのうつ症状に対して抗うつ剤など、症状に対しての治療を行うことが多く、即効性や確実性などを重要視しています。

一方で東洋医学は体質改善をすることで、体の中から患部に対してアプローチする考え方が基本になっています。また「未病」といって病気になる前に体質改善を行うことで病気を未然に防ぐことも目的にしています。漢方薬や鍼灸などが東洋医学にあたります。

漢方薬は保険適応にもなっているので、「普段、かかりつけ医に処方してもらっている」など、身近な存在になっている方もいらっしゃると思います。

 

東洋医学はどのような方に向いている診療でしょうか。育良クリニックで東洋医学を取り入れたきっかけなどとあわせてお教えください。

A:西洋の薬が合わない方、薬に抵抗感がある方などに向いている可能性があります。

たとえば妊活中の方の場合だと、生理痛がひどくそれを和らげるために処方してもらった薬が合わない方や、「生理痛はつらいけれど、これから赤ちゃんを産み育てる体だからケミカルな薬はなるべく飲みたくない」など、薬の服用に抵抗を感じている方もいらっしゃると思います。そういった方に、東洋医学は向いている可能性があります。

当院では、そういった西洋の薬などに対して不安を感じている患者さまにも「よかった」と感じられる結果に出会ってほしいと思ったことがきっかけとなり、東洋医学を取り入れた診療を行っています。

 

 

Q:漢方薬の特徴、メリットをお教えください。

A:西洋医学では「問題ない」とされて解決しづらい自覚症状や悩みを、緩和させる特徴があります。

妊活中の患者さまが抱える悩みやつらい症状のなかには、西洋医学の考えだと「問題ない」とされてしまうトラブルや病気があります。でもそういった悩みに対して漢方薬を使用してみると「改善した」「症状がやわらいだ」と、実感してもらえ、妊活にも前向きに励んでもらえるケースがあります。

ただこういった場合は、まず西洋医学的な診察を受けて重大な病気が隠れていないかを確認することがとても重要です。そして重大な病気ではないことが判明した後、東洋医学のアプローチにうつることが大切です。

たとえば、「体の冷え」を自覚している場合は、最初に西洋医学的なアプローチとして「甲状腺疾患」や「ホルモン異常」が無いかなどを確認します。西洋医学の考えでは、これらの検査で問題ないと「異常無し」となることがあります。

一方で東洋医学の場合は、最初に西洋医学的な検査をした上で異常なしとなった場合は、体質へのアプローチを漢方薬で行います。漢方薬の内服で手足の冷えが改善し、血の巡りが良くなって全身がポカポカしてきたことを実感してもらえることも少なくありません。

 

Q:漢方の薬を試してみたいのですが、合わない体質やタイプはありますか。また、患者から「漢方薬を処方してほしい」と希望してもいいでしょうか。

A:漢方が合わない人は少ないです。試したい時は、遠慮せずに医師に相談を

 漢方薬が体質的に合わないという方は、あまりいないと思います。もし、「漢方薬が気になっている」、「こんな症状があるから、漢方を試してみたい」と思ったら、遠慮せずかかりつけの先生に相談してみてくださいね。

ただ、粉末の製剤が多いので、粉薬が苦手な人だと「飲みづらい」と感じてしまうこともあるかもしれません。薬によっては錠剤もあるので、処方してもらう際に医師に相談してみてください。また、オブラートに粉薬を包んでみるのもいいでしょう。むせたり、口の中に残りづらく、スーッと無理なく飲めることもあります。

 

 体験記では、Taroさんが訪れた病院での治療の流れが紹介されていますが、一例として育良クリニックで東洋医学を取り入れた治療の流れをお教えください。

A:当院では、西洋医学的な検査と並行して鍼灸や漢方薬処方など東洋医学的なアプローチをしています。

患者さんの症状や目的などによって細かい治療の流れはそれぞれ異なりますが、当院では、まず西洋医学に基づく一般的な検査を行います。それと並行して患者さんの希望に沿って東洋医学的なアプローチを行っていきます。

漢方薬については、患者様とのお話の中で、服用の希望があるかを伺っています。また、「そういった悩みには漢方がいいかもしれません」などと、こちらから提案し、実際に服用してどうだったかなどを伺いつつ、その後の治療方針を決めていきます。

東洋医学の1つである鍼灸は、患者さまの希望に合わせて治療に取り入れています。

 

漢方を取り入れた治療を受診する際の注意点がありましたら、お教えください。

医療施設によって方針や考え方が異なるので、前もって情報入手を。

不妊治療を行う施設により方針や考え方があります。気になる医療施設がある場合は、事前に医療施設のホームページなどから入手しておき、自分が想像しているようなイメージ通りの治療を受けられそうか検討してみるといいでしょう。

漢方薬については、医師と相談された上で取り入れるか否かを決定されるといいと思います。また他院から処方されている薬がある場合は、その旨を伝えておくことも大切です。

 

Q:東洋医学を取り入れた不妊治療を検討している方へのメッセージやエールがありましたら、ぜひお願いします。

A:西洋と東洋どちらの医学も取り入れて、より妊娠しやすい体づくりをしましょう。

東洋医学は、かつて科学的根拠に乏しいと思われていた時代もありましたが、現在では、不妊治療を行う生殖医療の現場や婦人科をはじめ、いろいろな科で見直されています。漢方薬が保険適応なのは、患者さんにとってうれしいポイントだと思います。

特に婦人科では、手足の冷えや生理不順などの際に処方される「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、女性のイライラや不眠症などに効く「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、下半身の冷えに悩みを持つ方に処方される「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」をはじめ、さまざまな漢方薬のおかげで患者さんが感じている悩みを緩和、改善しています。

西洋医学と東洋医学、それぞれの良さを取り入れた治療をすることで、患者さんにとって「良い結果」に繋がると考えています。

ぜひ取り入れてみたいという方は、ぜひ不妊治療や産婦人科のかかりつけ医に相談してみてくださいね。

 

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浦野晃義先生

育良クリニック 院長 産婦人科医

帝京大学医学部卒業後、帝京大学医学部付属市原病院、愛育病院、国立成育医療センターに勤務。2014年に東京、中目黒の育良クリニック院長に就任。「患者さんが納得できる診療を」を信条に生殖医療から妊娠、出産、産後の女性の健康までをサポートしてくれる。産婦人科専門医、麻酔科標榜医、母体保護法指定医、新生児蘇生法専門コースインストラクター、NCPR修了認定者。

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