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【医師監修】うずくまるほどの腹痛は卵巣嚢腫かも?主な症状と妊娠への影響、治療法を解説!

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妊娠前のある朝、みたんさんを突如襲った右わき腹の激痛。今までに感じたことがなく、思わずうずくまってしまうほどの痛みに、当初は「盲腸に違いない…」と思ったそうです。そこで総合病院の内科を受診し、CTを取ったところ、右側の卵巣に大きな卵巣嚢腫ができていたことがわかったそうです。

 

 

 

そこで卵巣嚢腫とはどういう病気か、さらに、みたんさんがうずくまるほどの痛みを感じたという茎捻転は、卵巣嚢腫の患者さんならみんなに起こるもの なのか、妊娠への影響などについて、産婦人科医で田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生に解説していただきました。

 

Q :卵巣嚢腫とはどのようなトラブルでしょうか。

A :卵巣の中に塊ができるトラブルです。

卵巣の中になんらかの塊ができることを、卵巣腫瘍といいます。その卵巣腫瘍にもいくつか種類があり、塊が袋状になっているものの場合を卵巣嚢腫といいます。

卵巣嚢腫が引き起こされる原因は、はっきりしません。ただ、卵巣嚢腫の中にもいくつか種類があり、「チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜嚢胞)」というものがあります。本来は子宮に発生するはずの内膜が卵巣に発生し、生理の度に出血してその血が卵巣内に溜まってしまうトラブルですが、それについては子宮内膜症が原因といわれています。

 

Q:みたんさんは脇腹が急に傷んだことで卵巣嚢腫とわかりましたが、主な症状をお教えください。

A:嚢腫が小さいうちはほとんど自覚症状なし。大きくなってねじれると激痛が。

主な症状ですが、嚢腫のサイズが小さな時はほとんど自覚症状がありません。ある程度大きくなってくるとおなかが常に張ってるような感じ(腹部膨満感)や、下腹部の痛み、腰痛、頻尿、便秘などがみられます。チョコレート嚢胞の場合は、生理痛が以前よりも強くなることがあります。

みたんさんのように卵巣がねじれてしまうと突然、強い痛みや嘔吐などが起こり、緊急手術が必要になることもあります。

まれに、嚢腫が破裂することがあります。その場合は強い下腹部痛が起き、緊急手術が必要になることもあります。

 

 

Q:みたんさんは茎捻転を起こしましたが、よくあることでしょうか。

A:全ての卵巣嚢腫に起こるのではなく、奇形腫と呼ばれるタイプに多くみられます。

卵巣嚢腫を患っている患者さんみんなが茎捻転するのではありません。一般的に卵巣嚢腫が5~6cmぐらいになると、茎捻転を起こしやすいようです。なかでも茎捻転を起こす嚢腫の多くは、奇形腫と呼ばれるタイプ。嚢腫の表面がつるつるしており、周りの臓器と癒着していないために、ちょっとしたことですぐにくるんと捻られてしまいます。比較的若い女性に多くみられます。

 

Q:茎捻転を起こしている可能性が高い場合、どのような治療、処置をされますか。

A:卵巣が壊死していないか、赤ちゃんを産む予定があるかによって治療や処置は異なります

本当に茎捻転したことによって血液が卵巣まで届かず、卵巣が壊死しているような状態の場合は、卵巣を摘出します。

茎捻転を起こしてそんなに時間が経っていない場合は、ねじれを元に戻すことで、卵巣機能が復活することがわかってきました。そのためこれから妊娠を望む女性には、卵巣を温存する手術が行われるようになっています。

また、今では腹腔鏡手術でねじれを戻したり、卵巣の嚢腫部分を摘出できるようになりました。みたんさんが語っているように、腹腔鏡手術は、手術痕が小さくて済み、術後の回復が早いというメリットがあります。ただ、医療施設の方針や医師の技量によって腹腔鏡手術を受けられないこともあるので、事前によく確認をすることが大切です。

ちなみに腹腔鏡手術できる医療施設かは、日本産科婦人科内視鏡学会のホームページから検索できます。日本産科婦人科内視鏡学会認定の腹腔鏡・子宮鏡技術認定医のいる医療施設を選ぶと安心でしょう。

 

Q:みたんさんがお医者さんから腹腔鏡手術の手順についての説明を聞いているシーンがありますが、一般的な手順でしょうか。

A:今はへその傷以外に下腹部に3カ所をわずかに切開して行います。

体験記に出てくるような方法で手術を行う医療施設もありますが、今はカメラを入れるへその傷以外に、下腹部に7mm程度の極小の傷を3カ所つけて行うやり方が主流です。

 

:腹腔鏡手術で卵巣の嚢腫部分を取った場合、1カ月後に妊娠しても問題ないでしょうか。

A:卵巣に関連する手術なら、避妊期間は必要なしです。

卵巣嚢腫の手術では、術後に避妊期間は必要ありません。子宮筋腫摘出手術など、子宮にかかわる手術を行った場合には、一定の避妊期間が必要になります。

 

:摘出した嚢腫の中に髪の毛や歯が入っている「皮様嚢腫」という種類だそうですが、この髪の毛や歯はどこから来たものでしょうか。

A:受精していない卵子のもとになる細胞がなんらかの理由で勝手に分裂。その結果、髪の毛や歯が作られ、卵巣内に溜まったと思われます。

「皮様嚢腫」とは、10代や20代に多くみられるのが特徴です。卵巣の中にある何十万個の受精していない卵子のもとになる細胞が、勝手に分裂を開始。その結果、髪の毛や歯、などの人体の一部分が、中途半端にできて卵巣内に溜まってしまうものです。なぜ分裂を始めるかは原因不明です。

 

:「皮様嚢腫」以外にも種類はありますか。

A:漿液性嚢腫と、粘液性嚢腫があります。

 

漿液性嚢腫

卵巣の表面を覆う上皮から発生し、サラッとした液体が溜まります。10代~30代に多いのが特徴。ほとんどが良性で表面がつるんとした風船のようなものですが、表面がボコボコしたもの(多胞性)もあり、その場合は増殖すると悪性に変化する場合が有るので、注意が必要です。

 

 

粘液性嚢腫

嚢腫の中にゼラチンのようなドロドロとした粘液が溜まります。嚢腫のサイズが大きくなりやすく、大人の頭ほどになるものもあります。大きくなると嚢腫が破裂する危険があるため、できるだけ小さなうちに治療や処置することが肝心です。

 

 

Q:もし茎捻転で壊死してしまい卵巣を片側摘出した場合、2つ卵巣がある方に比べて妊娠率は50%になるのでしょうか。

A:残った卵巣から毎月排卵されるので、妊娠率は変わりません。

卵巣の片方を摘出した場合、残ったもう一方の卵巣から毎月排卵するため、妊娠率は変わりません。ただ、残った卵巣が手術でダメージを負っていたり、チョコレート嚢胞のように病気を抱えているケースだとうまく働かないため、妊娠しづらくなる可能性はあります。

 

 

Q:みたんさんは、手術前に医師から「恐らく良性だが、悪性の可能性がないわけではありません」と言われています。嚢腫の良性、悪性はいつの時点で判明しますか。

A:手術で摘出して組織を検査に出して判明します。

MRI検査や腫瘍マーカーなどである程度推定はつけられますが、最終的な判断は、手術して嚢腫部分を摘出して組織検査をした後に判明します。「この症状があったら悪性の確率が高い」など、自覚症状から推測することはできません。

 

:卵巣嚢腫、茎捻転の予防法がありましたら、ぜひお教えください。

A:早めの発見が重要です。子宮がん検診を受診する際に卵巣状態も超音波でチェックしてもらいましょう。

卵巣嚢腫は早めに発見して治療をすることで、茎捻転を起こす危険性を減らすことができます。また、万一悪性腫瘍の場合でも迅速にケアや治療を始めることができます。

早期発見するには、定期的に検査を受けることが大切です。子宮がん検診を受ける際、一緒に卵巣を超音波でみてもらい、異常がないか確認しておくといいでしょう。

 

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杉山太朗先生

医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。

 

2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。