こんにちは、ユーラシアです。
私は雨が降る度に、ある出来事を思い出します。
息子が3歳を過ぎ、初めて息子に傘を買った頃のことです。
当時はまだ週一のプレ幼稚園に通うくらいで、雨の日に出かける機会はほとんどありませんでした。なので、まあ念のため買っておくか~大して使わなさそうだけど~程度の気持ちで安物の子供傘を選んだのですが、予想外に息子は大喜び。
初めての自分用の傘にめちゃくちゃ愛着が湧いたらしく、家の中で何度も傘を開いてみたり、晴れた日でも傘を持ち歩きたがったほどでした。
ある日、雨の日に息子を連れて買い物に行くことに。若干憂鬱な気持ちの私とは裏腹に、息子はウキウキで傘をさしていました(自分の身長くらいありそうな傘をさしてヨタヨタ歩く姿はとても可愛くて、私もちょっと癒されました)。
買い物を終えてまた雨の中帰ろうとしたとき、お店から数歩離れた場所で息子が立ち止まりました。
どうしたの~?と声をかけると、
「みんなに傘を見せたい」。
みんなって誰!?と話を聞くと、息子はあまりにも最高な自分の傘を道ゆく人や買い物客に見てほしくなったようなのです。
そ、そこまで傘を気に入っていたのか。自分がどんなに素敵なものを持っているかみんなに見てほしいという気持ちは分からなくもないけども。
しかしここはただのスーパーマーケット。雨から逃れるように店内に駆け込んでいく人や、荷物を抱えて足早に帰っていく人ばかりで、知らない子供の傘に注目してくれる人なんているはずもありません。
なんとか諦めさせようと「今度プレ幼稚園の先生に見せてみたら?」と提案したりもしましたが、息子はなかなか諦めてくれませんでした。
私も買い物袋を持っているし、雨の中息子を抱きかかえて帰宅するのはしんどくて、どうしよう……とウロウロ。
そのとき、店内から出てきた女性がひと言、
息子に「すてきな傘だね」と声をかけてくれたのです。
なんと……まさに欲しかった言葉をかけてくれる人が現れるとは!
子供が傘を見てほしがってることに気づいてくれたのか、単純に子供好きでたまたま声をかけくてれたのかは定かではありませんが(なんとなく前者かなとは思いました)、その一言がもう本当にありがたくて胸がいっぱいになりました。
もちろん息子は傘を褒められて大喜びで、「すてきって言ったよ!」とニコニコ。おかげで幸せな気持ちで家に帰ることができました。
息子はもう当時のことをあまり覚えていないようですが、私にとってこの日の出来事は忘れられない思い出です。子育ては楽しいばかりではないけど、あの頃も今もどれほどたくさんの人に助けられてきたことか、たまに思い出しては大地にひれ伏したくなります(感謝の土下座)。
息子にも折に触れてこの話をして、渡る世間に鬼はなしだよ、とか言っています。なかなかそうも言ってられない世知辛い現実もありますが……。
おかげ様で息子も小学生になり、これからも多くの人の助けを借りながら子育てをしていくことになりそうです。同時に私も少しでも人の手助けができるようになりたいし、息子も人に受けた愛情を周りに返せる人間になってくれたらと思っています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ユーラシア
年齢:30代
子どもの年齢:7歳
2015年4月に男児を出産。割とテキトーに育児しているオタクでナマケモノな専業主婦です。思いもよらなかった子供の可愛さ奥深さに驚く毎日の中、老後の楽しみにと育児に関する絵や文章をちまちま描いています。息子はいつも親指を吸っています。
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