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【医師監修】「破水」だと思ったらどうしたらいいの? 尿もれと区別はつくの?

お産の始まり方は人それぞれ。陣痛が始まって病院に連絡する人もいれば、破水に気づいて入院になる人もいます。この記事では、正期産の出産の始まりの約30%を占める「破水」(陣痛が始まる前に起こる前期破水)が起こったときのことについて、やるべきことや注意したいことをご紹介します。

監修医師

海老根真由美先生

白金高輪 海老根ウィメンズクリニック 院長

産婦人科専門医。埼玉医科大学医学部大学院卒業後、さいたま赤十字病院産婦人科、埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門病棟医長、同講師等を経て、2013年に白金高輪 海老根ウィメンズクリニックを開設。産婦人科、婦人科、助産師の外来を中心に、小児科や乳腺外科、泌尿器科、内科の診療も行い、女性のライフイベントに合わせた医療を提供している。

破水はどんなふうに起こるの?

正期産の約3割は、「前期破水」から始まる

「破水」とは、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて、内部の羊水が流れ出ること。通常のお産の流れでは、陣痛がピークに達して子宮口が全開になった頃、降りてきた赤ちゃんの頭の圧力に耐えられずに破水が起こります。ところが、分娩の途中で破水が起こるのではなく、陣痛が起こっていない段階で先に破水をすることがあり、これを「前期破水」といいます。正期産(妊娠37週~41週まで)の出産のうち約3割は、破水から出産が始まっています。

37週未満で前期破水が起こったときは

赤ちゃんがいつ生まれてもいい37週以降の前期破水では、その後24時間以内に陣痛が起こることがほとんどのため、胎児が元気かどうかをみながら分娩が進むのを待ちます。それで陣痛が始まらなければ、陣痛誘発剤を使って分娩を進めていくこともあります。一方で、妊娠37週未満の前期破水は、赤ちゃんが早産になる可能性がある時期の破水です。感染の兆候がなく赤ちゃんの状態が安定していれば、赤ちゃんが1日でも長くお母さんのおなかにいられるように、管理入院をして安静に過ごします。

破水だと思ったら、どう対処すればいい?

感染リスクに注意しながらすぐ病院へ

陣痛よりも先に破水が起こることで気を付けなければいけないのは、感染です。これまで赤ちゃんは「無菌の袋」の中に浮いているような状態でしたが、破水が起こることによって子宮の中と外を隔てている膜が破れて穴が開いてしまった状態に。破水から時間が経つにつれて、腟内にいる菌などが子宮内に入り込み、子宮内感染を引き起こすリスクが高まります。注意が必要な状態のため、落ち着いて次のように行動しましょう。

●まず病院へ連絡をする
破水をしたらそのまま入院となるため、夜間や休日でもまずは産院に連絡を入れます。電話では、妊娠週数や予定日、いつどのように破水したのかなどを伝えましょう。

●清潔なナプキンを当てる
破水後はぬれたところを拭き、清潔な下着に取り替えて大きめのナプキンを当てましょう。量が多いときはバスタオルを腰に巻いて。

●入浴やシャワーは厳禁
浴槽内など外部の菌が、腟から侵入して赤ちゃんに感染する可能性もあるため、破水後の入浴・シャワーは厳禁です。ただし、体にかからないよう足だけなら洗い流すことは可能です。

●車での移動中は横になって
病院までは、近くても歩かずに必ず車で向かいましょう。破水で救急車を呼ぶことはできません。入院の荷物は家族に任せて、母子手帳や診察券など最低限必要なものだけを持って病院へ。後部座席にバスタオルを敷いて横になり、これ以上羊水が流れ出ないように気を付けて。
※ 突然の破水で赤ちゃんのへその緒が脱出している場合は、非常に危険なため救急車で病院に向かいましょう。

破水なのか、尿もれなのか、見分けはつくの?

どちらかわからない場合も多い

臨月に入ると膀胱が圧迫されやすく、無意識に尿もれをすることがあります。また、卵膜の破れたところが子宮口から離れた高位破水では、流れ出る羊水の量が少量のため「これは破水なの? 尿もれなの?」と判断がつきづらい場合も。まずは色やにおいを確認して、破水か尿もれかをチェックしましょう。ただし両方が混じる可能性もあり、色やにおいだけではわからない場合も多くあります。

●色
尿は無色透明~黄色ですが、羊水は無色透明~やや白濁した色です。血液が混じったような薄いピンク色になっていることもあります。

●におい
尿はアンモニア臭、羊水は無臭または生臭いにおいがします。

自己判断はNG。迷ったらすぐ産院へ連絡を

破水の状況は個人差が大きいものですが、自分の意思では止められずダラダラと流れ出たり、持続的にずっとナプキンやパットが濡れたりというようなことがあれば、尿もれではなく破水である可能性が高いと考えられます。注意しなければいけないのは赤ちゃんへの細菌感染のリスクなので、はっきりしないときは絶対に自己判断をしないことが重要です。破水である可能性を考えて慎重に行動し、必ず産院に連絡を取りましょう。

この記事のまとめ

尿もれと間違っても構わない。「破水だ」と思って行動を

通常、破水は分娩途中で起こることが多いですが、陣痛よりも先に卵膜が破れて羊水が外に出ることを「前期破水」といい、約30%の出産に起こります。尿もれと間違いやすい場合もありますが、自己判断は禁物。時間が経つと感染の危険があるので、少しでも破水の可能性があれば、まず産院に連絡をしましょう。

構成・文/
福永真弓
イラスト/
小波田えま

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