【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】産後すぐ(産じょく期)のママの体とは?どう過ごすのが正解?
~全5回の連載特集でお届けします~
【プレママ レッスン4】
第4回目は産後の体と過ごし方について。出産を終えたママは体に大きなダメージを負っています。妊娠前のように元通りになるためにも産後1カ月の過ごし方はとても重要ですから妊娠中から予習をしておくことが大切です。
監修医師
浅井貴子先生
フリー助産師
赤ちゃん訪問指導歴約30年のキャリアを持つフリー助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。赤ちゃんのボディケアを始め、ベビーマッサージやマタニティエクササイズのインストラクターを始め、助産師としての知識を活かした産後の会陰ケア、おっぱいケア、ママのためのスキンケア、産後のメンタルケアなど、妊婦さんや産後ママ向けのセミナー講師を多数務める。
産じょく期こそしっかり休んで、しっかり回復!
妊娠前に戻るためのスペシャルな期間
産じょく期は分娩後にママの体が妊娠前の体に戻っていく期間のこと。おおむね分娩後6週から8週とされています。大きく起こる体の変化は「子宮の戻り」と「おっぱいの分泌」の二つ。一般的に言われる産後の肥立ちとはこの時期の回復のことを指し、昔から「産後の肥立ちがいい、悪い」と表現されたりします。
特に産後すぐのママの体は、会陰切開の縫合あとや子宮や膀胱などの臓器を支える骨盤底、骨盤底筋などが伸びきったり傷を受けたりしています。この時期の体の回復には寝姿勢の時間をなるべく多く取ることが何より重要です。長時間立ったまま、座ったままで腰回りに重力と負担がかかることで回復が遅れ、ひどい時には臓器が骨盤の外に出てしまう骨盤臓器離脱を引き起こす可能性も。
産じょく期はとにかく休息。暇さえあればゴロンと横になり、心身ともにゆっくりゆったり過ごすことが大切です。
産後におしもが受けているダメージとは?
子宮
産んだ直後はおへその高さくらいまで大きく膨らんでいる子宮ですが、日を追うごとに小さくなっていきます。内壁は胎盤や卵膜がはがれて出血していますが、子宮が小さくなることで自然に悪露となって排出され、やがて止血します。赤ちゃんが通った後の子宮口はまだ指二本分くらい開いていますが、悪露の排出と共に次第に閉じていきます。
子宮は6週から8週で元の大きさにもどり、最初茶褐色だった悪露はだんだん色が薄くなり2週から3週でおさまっていきます。
会陰
会陰は赤ちゃんが出てきたときによく皮膚がのびれば無傷ですが、会陰切開をしたり裂けたりした場合は出産のあとすぐに縫合します。傷の痛みは3日程度。鎮痛剤で痛みをおさえ、トイレ(大便)のときは温水洗浄便座で洗浄、軽くトイレットペーパーをあてる程度にとどめ、傷の治りを待ちますが、1週間程度で徐々におさまり2週間程度でほぼ回復してきます。
骨盤、腰まわり
赤ちゃんが産道を通ることで広がるのが骨盤底です。これは膣や膀胱、直腸を支える組織ですが、赤ちゃんが生まれるときの開きの影響で筋肉が伸びきったり傷ついたりしています。ママの感覚としては「骨盤がぐらついている」ように感じるかもしれませんが、骨盤ベルトなどを付けて安静にしていることで、約4週間で元に戻っていきます。
体の回復のために気を付けたい動作とは?
家事
立ちっぱなしや、重いものを持つなどの体の負担になることはできるだけ避け、お風呂掃除やシーツ替えなど前かがみになる動作もできればパパに頼むなどして避けたほうが〇。料理などの立ち仕事はやっては休み、やっては休み、くらいのゆっくりしたペースを意識して。
運動
入院中はベッドに横になったままできる「産じょく体操」ならOKです。助産師に習いながら、ごく軽い運動で骨盤底の回復を目指しましょう。また早く体型を戻したいと、いきなりトレーニングを始めるのはNGです。体型戻しは産後3カ月を過ぎてから。ママの体の回復、体調を十分に見ながらスタートしましょう。
日常生活
お風呂に浸かるのは、1カ月検診を過ぎ医師のOKが出てから。それまではシャワーのみにしましょう。またトイレであまりふんばるのもご注意を。便秘がちで便が固くなってしまう恐れがあったり、痔の悪化が気になる場合は、早めに医師に相談して薬を処方してもらいましょう。
この記事のまとめ
遠慮なく、ダラダラしてOK! そのぶんしっかり回復を
「自分は体力があるから産後もきっと大丈夫」と過信するのは禁物です。お産はよく山登りにもたとえられますが、それくらいハードな仕事なのです。また妊娠から産後の生活の中でも、産じょく期は特にママの体を最優先に過ごしたい時期です。赤ちゃんのお世話以外はしない!くらいの気持ちでOK。産後の回復期を乗り切りましょう。
次回のレッスン5「今さら聞けない?お産の噂に一問一答でこたえます」に続きます。
- 構成・文/
- 中島典子
- イラスト/
- タオカミカ