【助産師監修】対策を知れば怖くない!出産を乗り切るコツ
出産の進み方は段階的で、陣痛は徐々に強くなっていきます。お産の進み具合に合わせた痛みの乗り切り方を知っていれば、やみくもに恐れることはありません。状況に応じた乗り切り方を知って、スムーズな出産につなげましょう。
助産師
鈴木恵子先生
日本赤十字社医療センター
看護部看護師長
日本赤十字看護大学卒業。助産師としての経験は20年以上。産婦人科で数多くの妊婦に寄り添ってきた、出産のスペシャリスト。今まで立ち会った出産はのべ1000人以上。妊娠期、分娩期、産後ケアとそれぞれの現場での経験を経て、現在は看護師長を務める。
Section1
出産は乗り切り方で楽になる!
初産の人は陣痛の痛みに耐えられるか、不安な気持ちになるのも無理はありません。でも状況に応じた痛みへの向き合い方を知っておくことで、過度な不安を和らげることができます。痛みは自身の体が感じているものなので、不安を和らげると痛み自体も和らげることができるのです。
Section2
前駆陣痛のときは・・・
お産が進むような動きをしよう
前駆陣痛のうちはまだ余裕があるので、適度に体を動かしたり体を温めたりしてリラックスしたほうが、お産が進みよりよい陣痛を促すことができます。陣痛が本格的に始まるまでは、基本的に自宅で普段通りの生活をして構いません。4つのテクを参考に、落ち着いて過ごしましょう。
1.体を温める
体を常に温めておくことで体内循環もよくなり、お産も進みやすくなります。低温やけどに気を付けつつカイロで温めたり、足湯もおすすめです。汗をかいたら体を冷やさないように着替えましょう。
2.ストレッチをする
ストレッチは血液の循環を促すのに効果的です。背中を丸める中腰のポーズや、腰を回したりゆらゆらさせる動きは、お産を進めてくれます。ただし無理は禁物。心地よいと感じる体勢や速度でゆっくりと試してみましょう。
3.日常生活を送る
動ける限りは通常通り家事をしたり歩いたりして、痛みにとらわれず過ごしましょう。痛みが不規則なときは、家でくつろいで過ごす方がお産も進みやすくなります。夜間であれば、休息を。
4.気分転換をする
痛みにとらわれないように、自分の好きなことに集中したり、くつろいで過ごすことが大事です。散歩でも音楽を聴くことでもOK。自分は何をしていると一番気分転換できるかを、妊娠中から探しておくとよいでしょう。
Section3
陣痛が本格化してきたら・・・
痛みを和らげよう
最初は10分間隔だった陣痛がだんだん進んでくると、間隔はより短く、痛みはより強く長くなってきます。ただ、陣痛はまだまだ長く続くもの。この時間を乗り切るために、なるべく体の力を抜き、楽になれる姿勢を探すなど、痛みとうまく付き合う工夫が必要になってきます。以下を参考に、自分が一番心地よい方法を模索しましょう。
1.力を抜く
陣痛に耐えようと体に力が入ると、かえって痛みにつながる場合があります。全身の力を抜きできるだけリラックスすることを心掛けましょう。ただ実際はなかなか難しいので、妊娠中から意識して体の力を抜く練習をしておくとよいです。
2.体勢を変える
痛みがすぐ来るからと思い体を動かさずに横になって待つより、できる限り体勢を積極的に変えて、自分が楽な姿勢を探すほうが得策です。横向きや着座など、ゆっくりでもよいので自分に合う体勢を見つけるようにしましょう。
3.息を吐く
痛みが強いと知らず知らず息を止めがちになります。ゆっくり息を吐くことがリラクゼーションにつながり、赤ちゃんにも酸素が届きやすくなります。ハアハアと息をし過ぎると、酸素量が少なくなり、唇や手がしびれてくるので気を付けましょう。
4.マッサージをする
痛みを感じる場所は、お産の進み具合とともに変化します。あらかじめパートナーにマッサージのコツを覚えてもらい、その都度痛みの場所に合わせてツボを押してもらうのがおすすめです。
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いきみが出てきたら・・・
いきみ逃しをしよう
いきみとは、子宮口が広がってきてベビーを出すためにママの体が自然と踏ん張りたくなる状態のことです。ただ、子宮口が全開になるまで待たないとお産のエネルギーが無駄になってしまうため、以下の方法でいきみを逃して乗り切りましょう。
1.お尻を押さえる
子宮の収縮に合わせて肛門周りを手などで圧迫するのは、助産師さんも行う有効手段です。強めに押しても大丈夫な場合がほとんどなので、パートナーに要望を伝えて手伝ってもらいましょう。最近は硬いテニスボールを使って押すのが、定番の圧迫の方法です。
2.一度だけいきみ深呼吸
どうしてもいきまずにはいられない場合は、一度だけ短くいきんでその後はゆっくり深呼吸で逃すという方法もあります。我慢できないときは、この方法でいきみ感を解消してみてください。
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子宮口が全開になったら・・・
自然に力が入るときにいきもう
「いきんでいいよ!」と助産師や医師から合図が出たらいきみを始めます。基本的には排便のときの力の入れ方と同じですが、体から湧き起こるいきみに合わせて力を入れるイメージで行うと、より効果的です。
この記事のまとめ
痛みの波に逆らわず、乗り切って
陣痛は怖い怖いと思うほど、体がこわばり痛みを強く感じてしまいます。痛みは押し寄せては返す波のよう。痛いときは痛みに逆らわず、痛みに身を任せる気持ちで、乗り切ってくださいね。
- 構成・文/
- 稲垣幸子
- イラスト/
- itabamoe