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立ち会い出産で、感動をシェア!?

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こんにちは。zanbottosanと申します。ニ児の父で、共働きの妻がブロガーであるという事情から、ぼくも出産・育児にまつわる話を書かせてもらいます。どうぞよろしくお願いします。

ところで皆さん、感動をシェアしていますか? これからの季節は、美しい草花を道端(もしくは道端ジェシカさんのブログ)で見かけられると思います。そんなとき、すぐ写メして「俺も〜花咲かせたいZE~」なんて一言を添えるだけで、大勢の人から「いいね!」をもらい、たちまち感動をシェアできます。そんなふうに自分の感じた心の動きを誰かと分かち合えるって、この時代に生きている醍醐味なのかもしれませんね。
今回のテーマ「立ち会い出産」は、まさに夫婦の感動共有の最たる出来事だと思います。結婚式は準備に必要な作業量や決定事項が山のように押し寄せてくるため、夫婦の絆(と溝)を深められるイベントの筆頭ですが、立ち会い出産には結婚式と同等かそれ以上のインパクトが存在しているのです……と書いているものの、じつはぼくは「おや? 感動したっけ?」とうまく思い出せなくなっていました。うーん、どうだったんだろうな。

■ 出産当日のメモから感動を思い出してみよう

近年、出産に立ち会う夫の姿は珍しいものではなくなりました。ぼくも長男、次男それぞれの出産に立ち会いました。長男のときは、前日までの睡眠不足と非常に長い陣痛時間に付き合っていたという理由により、意識と記憶が混濁したまま誕生の瞬間を過ごしてしまいました。正直、感動をシェアできず、妻の役に立っていませんでした。ごめんなさい。
……その苦い経験もあり、5年後の次男出産の立ち会いには体調を整えて挑みました。そして、何が起きているのか、手に持ったスマートフォンでつぶさに記録しながら妻に付き添いました。そのときのメモを読み返せば、出産の感動がありありと思い出せるかもしれません。以下にご紹介していきますので、よろしければ一緒に感動してください。

午前3時。
起こされる。
病院に電話したらまだいい。
20分に一度くらい(陣痛が)。
寝直し。洗濯たたむ。

……メモは出産当日の午前3時からスタートしていました。誕生したのは午後5時近くでした。妻はこの後15時間にわたり陣痛に苦しんでいたことになります。ぼくは洗濯をたたんでいる場合ではないのではないか? いやそれとも家事をしている余裕があるアピールかもしれない(3時に!?)。

午前6時30分。
妻に起こされる。
長男も起こす。いつもより1時間早くて眠そう。
朝食準備。妻はグラノーラだけ。
7時30分。保育園。
8時からあまちゃん観る
タクシーで産院へ。4500円くらい。

陣痛の感覚が長いのでまだ余裕がある。夫婦であまちゃん観ているほどの余裕です。録画対応にすればいいのに、なんでしていなかったんだろう? ……こういうメモは大切ですね。二度寝していたみたいだし。4歳の長男を保育園に預け、産院へ向かう。えーっと、保育園の時間外、たとえば夜だったらぼくらはどう対応していたんだろうか……

午前9時から診察。
待合所には赤ん坊を抱いているママさんたちがワラワラいる。
さっそく「甘いパン買ってこい」と。
内診。2センチ。破水。

産院に到着後、内診で破水させられたのか、自然に破水したのか不明。この時点でぼくのやるべきことはほぼないため、菓子パンを産院の外のコンビニまで買いに行くパシリ役を命じられる。なんとなくだが、妻は食べたかったわけではなく、命令したかったんだろうなあって……そう感じてこのメモを書いた気がする。ポカリスエットなどの水分もたくさん買い込みました。

9時20分
部屋へ。ナースコールはPHS使用。
パジャマに着替える
(陣痛は)間隔は長いが結構痛いと、書けという。

 

9時30分
やることないのでハンドマッサージ
処置に関わる同意書を持ってき忘れて、愉快なサザエさん状態。
隣のベッドの奥さんはすでに辛そうな段階。
いい感じにしあがっているね。

陣痛の間隔が短くなるまでは、産院の部屋で横になっていました。陣痛の波が引くと、いつものように会話できるので、くだらないことを話していたのでしょう。上記のようなくだらないメモになっていました。

9時45分
妻処置のため夫残される
人の新生児を眺める。3人くらい。みんな同じに見える。
食堂みたいなところでジュース飲む。
同じタイミングで入院した方の夫さんが「名づけ辞書」を熟読中。
常に心にわいてくる、自分は「立ち会い2回目だから~」による初産の人への先輩感。

妻は痛みと戦っているなか、ぼくはジュースを飲み、他人へ目を向けていました。ぼくは肉親が病気で入院していた時も同じなのですが、本来気にすべき人よりも、他人ばかり気になってしまうんですよね。これ、逃避欲求なのかもしれませんね……逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ。

10時20分 
赤ん子の心音モニター開始。140-150くらい。
妻寝る。
11時56分 
食事。ハンバーガー!
一分刻みで陣痛
11時58分 
痛みでナースコール
診察 4センチ
12時50分 
血圧測る

このあたりのメモから、ひたすら陣痛に耐えながら出産を迎えるまでの記録となります。それまでのメモが口語調だったのに、このあたりからは事実・数字のみを簡潔に書いていることから、緊迫した雰囲気に突入したのだと思います。

14時15分
分娩室へ 9センチ
14時30分
血圧測る 98/70
15時20分
陣痛弱いか、寝てる?

「9センチ」というのは子宮口の広さです。10センチが全開の目安らしいです。メモを追っているとぼくは何もしていないよう見えますが、腰をさするとか手を握るとか、ちゃんと寄り添っていたはずです。自信ないけど。妻は陣痛の合間にちょいちょい寝ていたみたいですね(あまりぼくの記憶にない……)。

16時20分
全開
16時40分
誕生

「全開」というのは子宮口が全開になった、という意味です。その後20分ほどで誕生を迎えています。しばし立ち会いに関して、誤解混じりに質問されることに「誕生の瞬間はグロテスクすっか?」というのがあります。……股のほうには夫は立ちませんので、見えません。産婦人科医じゃないんだから。立ち会いで夫がいるべき場所は、頭のほうです。フェイストゥフェイスで励まさないといる意味がないです。ですので、出てくる瞬間は見えませんし、妻だって自分の股間は見えないんだから、見えなくていいんです。

じいじたちに電話
17時13分
おっぱい吸う
18時45分
長男の保育園、お迎え(ぎりぎりセーフ)

無事誕生し、ひと安心したメモです。親族への報告を済ませ、長男のお迎えに急いで向かいました。普段もギリギリで保育園にお迎えに行くことが多いのですが、出産の時も同じようなギリギリお迎えでした。間に合ってよかったです。夫婦で「この子は〆切に強い人になるね」と話した気がします。

 

 

 

……というメモでした。どうでしたか。この内容ではあまり感動できないですよね。うーん。


■ 「感動」のシェアよりも、フェアな「疲労」。

こうやって振り返ってみると、「感動」は、ぼくにとっては実はあまり優先順位は高くなくて、無事だったことが何よりも良かったなあと極当たり前な感想がまず頭に浮かんできました。そのうえで、出産の立ち会いとは、「誕生の瞬間の刹那な感動ではなく、出てくるまでの陣痛との付き合いだ」ということを思い出しました。

例えばネットで「出産 立ち会い」と検索すると、メリット・デメリットを述べているページが多く見つかります。立ち会いの是非について論争している情報も珍しくなく、それらの情報を目にすると不安を感じるかもしれません。けれど、立ち会いを経験したぼくとしては、なるべく妻の近くにいたほうがいいんじゃないかと思っています。それは「感動」を得るという利己的な意味ではなく、長きに渡って苦しめられた陣痛と出産の「疲労」を分かち合う、という利他的な志向としてです。また、生まれてきてから分かる赤ちゃんのトラブルもあるので、出産を終えたばかりの妻に一任させるのではなく、一緒に聞いて負担を軽くするという実際的な意味もあります。

妊娠から出産までは女性が主体で取り組まなければなりません。けれど、その後の育児と家事は男性でもできるタスクばかりです(どんどんやろうじゃないですか)。正直、育児と家事は疲れることばかりです。でも、その疲労を分かち合うことで、なんとか乗り越えていけることもあったりします。出産はそういった育児にまつわる疲労のはじめの一歩です。(決して同じにはならないけれど)負担をフェアに分担するという志向のきっかけとして、出産に立ち会った意義はあったのかなと、今は思っています。

 

 

 

……ここまで読んでくれてありがとうございました。今後、ぼくと同じように立ち会いの話をオープンに書く男性が増えてくれるといいなあと思っていますが、一つだけ注意してもらいたいのは「立ち会い」を「立ち合い」と書かないでくださいね。「立ち合い」は相撲などで向かい合い、戦うとき使うことばだそうですので。

 

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著者:zanbottosan
年齢:43歳
子どもの年齢:1歳、6歳

@kobeniの夫です。「非コミュ男子×育児」という相反するテーマにとりくむアラフォーです。

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