人生の先輩からのメッセージ
2回の流産を経て待望の第一子を授かった時の話です。
退院後は実家に帰り、2ヶ月に入ったところで自宅へ戻りました。
出産後、ホルモンのせいなのか旦那さんと赤ちゃんと早く3人で一緒に過ごしたくて、期待を胸に自宅での生活を再スタートさせたのですが…。
実家の時とは違い、家事と育児を両方やる事の大変さを早くも痛感したところからのスタート。
育児に協力的な旦那さんではありますが、やはり母として、妻としての負担は思っている以上に多く、気付かないところでストレスがたまっていたのだと思います。
そんなある日、ベビー用品店へ行かねばならなくて娘と2人で向かった時の事。
駅から無料バスに乗らねばならないのですが、ベビーカーで交通機関を利用した事がなく、とても不安でした。
バスに乗るのが怖くてベビー用品店まで歩いて行こうか悩みました。
ただ、1人で交通機関を利用するのが怖くてずっと逃げていた自分に飽き飽きしていたのもあり、頑張ってバスに向かってみました。
バギーは重く1人では乗せられません。
運転手さんに
「後ろから乗りたいので、バギーを持ち上げるのを手伝って頂けませんか?」
とお願いをして後ろのドアの前で待っていました。
するとドアの前にいた60代後半か70代の女性が
「私が前を持つからあなたは後ろを持ちなさい」
と声をかけてくれました。
1人で不安だったのでその優しい言葉に感動しました。
女性に、運転手さんにお願いした旨を伝えて御礼を言っているところに運転手さんが来て、無事バスに乗車。
乗車後もその女性は私に席を譲って下さるとおっしゃいましたが、出口付近に立っている方が良いと思い、お気遣いだけ頂戴しました。
バスを下車する時が近づくにつれて、また運転手さんにお願いしたり、周りの人の邪魔になる事を考えて憂鬱な中、下車するロータリーが見えてきました。
すると今度は70代の男性がバギーに近寄って来たのです。
私は端に寄せているバギーをさらに端っこまで詰めてみました。
するとその男性はさらにバギーに近寄るのです。
私が邪魔だとか何か言われる事を恐れていると、男性が私に言ったのです。
「私が後ろを持つからあなたは前をお持ちなさい」
すごくビックリしました。
先程同様、
「運転手さんにお願いしましたので」
と告げると今度は、男性が胸に響く事を言われたのです。
「あなたね、こんな事は運転手さんにお願いするような事ではないんだよ。周りの人が協力し合っていけばよい話なんだから」
すごく嬉しかったです。
さらに男性と女性は
「このご時世に子供を産んでくれてるだけでも感謝ですね」
と話していました。
立て続けに同じ年齢くらいの方々が温かい言葉と手を差し伸べてくださり感動しました。
私は心から
「ありがとうございます!!」「ありがとうございます!」
と何度も言うと、男性が最後にハッとする事をおっしゃいました。
「あなたはさっきから有難うございますと何度も言って恐縮してきるけど、これは当たり前の事なんだよ。だからそんなに恐縮する必要はないんだよ」
たしかに申し訳ない気持ちと感謝とが混同していたので、その言葉を聞いた時に育児と家事と慣れない中で過ごす毎日によって張り詰めていた糸が一気に緩み、涙を流してしまいました。
この人生の先輩お二人がしてくれた事により私の肩の荷はおりて、今では何かとビクビクするのではなく、私らしい育児を楽しんでいます。
そして、私も同じ様に困っている人を見かけたら、出来ることをやろうと心がけるようになりました。
著者:Amy
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