生後1カ月の頃、突然長男がおっぱいを嫌がって大泣きするようになりました。
それ以来、授乳時間は私にとって地獄としか言いようがないくらい苦痛なものになりました。
空腹なはずなのに、おっぱいを近づけると顔をそむけて泣きながらイヤイヤ。
おっぱいが出ていないのかな?と思ってちょっと搾ってみると、勢いよくピューッ。
ほら、おっぱい出てるよ、と再び長男の口元に乳首を持っていくと…今度は口をぎゅっと閉じて、飲むのを断固拒否。
どうして飲んでくれないのよ…。
私自身も泣きそうになりながら、しぶしぶ哺乳瓶にミルクを作って持っていくと、長男はすごい勢いでミルクをゴクゴク。
そんなにミルクがいいの…?
一気にミルクを飲みほしてしまった長男を見て、なんだかとてもみじめな気持ちになりました。
おっぱいを拒否されるたびに、まるで親としての私自身が拒否されたような感覚に陥ってしまうのです。
そんなにお母さんが嫌なの?
私はすっかり授乳が辛くなってしまい、毎回泣きながら、それでもなんとかおっぱいを飲んでもらおうと必死に格闘していました。
こうなってしまった理由には、心当たりがありました。
長男は小さく生まれ体力がなかったこともあり、産まれたばかりの頃はおっぱいから母乳をほとんど飲めていませんでした。
体重を増やすためにとにかく飲ませなくてはと、産院の指導で搾乳した母乳を飲ませるために哺乳瓶を使っていたのです。
その結果、長男は飲むのにコツや体力のいるおっぱいよりも、楽に飲める哺乳瓶を好む、「乳頭混乱」という状態になってしまったようです。
ネットで乳頭混乱についていろいろ調べていくと、克服することはとても難しく、結局おっぱいをあきらめてミルクに移行していったという話がたくさん載っていました。
でも、私はおっぱいをあきらめたくない。
一つ救いだったのは、助産師さんがこんな風に言ってくれたことでした。
「おっぱいを飲むのって赤ちゃんにとってはすごく難しいんですよ。でも、この子は一度は飲めていたんだから、また飲めるようになるはず」
私はこの言葉を支えに、乳頭混乱を克服するための方法を手当たり次第に試してみました。
はじめのうちは全くうまくいかず、相変わらずおっぱいを全力で拒否され長男と一緒に泣いてばかりいました。
でも、なんとか気持ちを切り替えて授乳のときの抱き方を工夫したり、言い聞かせをしてみたり、おっぱいマッサージに行ったり…と、できる限りのことはやってみました。
そのうちに、おっぱいを見ても泣かなくなり、その次にはおっぱいをちょっとだけくわえてみるようになり…と、長男の方にも少しずつ変化が見え始めました。
そして、生後4カ月を過ぎた頃、ようやく長男はおっぱいをゴクゴクと飲んでくれるようになりました。
やっと飲んでくれた…という安堵感と、幸せなおっぱいの時間を取り戻せたよろこびで、涙があふれてきました。
乳頭混乱を克服するまでに、3カ月もの時間がかかっていました。
その後は嫌がるどころか、むしろおっぱいを離したがらなくなるほどにまでなった長男。
結局、1歳半になるまでの間、毎日欠かさずおっぱいを飲み続けました。
次男の出産というやむを得ない理由での断乳となりましたが、乳頭混乱を乗り越えておっぱいの時間を長い間共有してくれたこと、長男に心から感謝しています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:minimix
年齢:40歳
子どもの年齢:3歳と1歳の男の子
次男の病気を機に仕事を辞め、ライターとしての活動をはじめました。趣味はベリーダンス。歌や踊りが大好きな子供たちと、にぎやかな毎日を過ごしています。
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