私の初めての出産は、子どもが下りてこなかったという理由から陣痛もくることなく、帝王切開での出産でした。
「どうしても経膣分娩がいい!!」というほど経膣分娩にこだわっていたわけではありませんでしたが、「経膣分娩が美徳」といった空気を勝手に感じていました。
そして、帝王切開に納得しての出産だったはずなのに、この想いは人知れず私の胸の中でくすぶり続け、出産後も思い出しては時々胸がチクッとする時がありました。
一人目を産んでからも、たまにそう思っていた記憶があります。
「う、産まれる~!」とか言ってみたかったなぁ‥と。
そんな想いが残る中、私は二人目を妊娠しました。
当然、二人目も当たり前に帝王切開と思っていたのですが、産婦人科の先生からまさかのことを言われたのです。
帝王切開の予定日はちょうど39週目の日に。
その前に陣痛がきたら産みましょうとのことでした。
それっていわゆる「VBAC(ヴイバック)」!
VBAC(ヴイバック)とは、帝王切開をした人が次に経膣分娩をすること。
子宮破裂を発症するといったリスクや、VBACをするには数多くの適応条件があると聞くのに、先生、そんなにサラッとVBACしようだなんて…!
どうする私?陣痛や経膣分娩をするチャンスが一気にきたぞ…!
さぁどうする、どうするー!
そして私がほぼ一瞬で出した答えが…
まさかの経膣分娩の選択肢が出来た瞬間、思い出したのです。
一人目出産の時に病院で聞いた、陣痛や出産で痛みに耐えていた妊婦さんたちの声を…
無理、無理ですわ…
帝王切開だって怖いし危険だけど、これから未知の痛みを経験するのは、もっと怖い……
私は、無意識のうちに「経膣分娩や、痛みに耐えてこそ美徳」といった空気や、経膣分娩や陣痛を経験してみたかったという気持ちにとらわれていたようでした。
それが、まさかの経膣分娩への選択肢が与えられたのです。
自分の気持ちがはっきり分かった瞬間でした。
結局、二人目も陣痛が来ることなく、帝王切開で産みました。
現在は、二人目も3歳になりました。
そして、「陣痛や経膣分娩を経験したかった」という想いはもう全くありません。
胸のつかえはストンと落ちて、うまく消化できました。
お腹に残る帝王切開の傷を見るたびに出産の時のことを思い出しては子ども達を見て、大きくなったなぁと思うのが日課です。
思い出も体に刻まれるし、帝王切開にして良かったなと今は素直に思います。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
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著者:フクミー
年齢:34歳
子どもの年齢:4歳と2歳
勤めていた会社が潰れ無職になったのを機に妊娠を考え始め、29歳にて妊娠そして帝王切開にて出産。現在は一男一女の子育てに追われながら趣味のブログを子どもが寝静まった夜に更新する毎日。
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