夫は最初からブレずに立ち合い出産はしない派でした。
一方私の方も、上の二人の出産の時には助産師さんや先生に頼り、助けられ、不満の無いお産をしていました。
素人の夫が参加した所で、何が変わるわけじゃないし…。
いよいよ陣痛が来て、病院に到着。
そこで再度先生に立ち合い出産に誘われても夫はブレずに断っていました。
陣痛の間だけは、しっかり隣でサポートすると約束し、陣痛室へ。
三人目ともなると、どの程度の痛みがマックスか分かってきました。
「まだまだこの程度の痛みで産まれるほど、出産は甘くないよ~」
なんてベテランぶっていましたが、
早めに上がった分娩台で急展開を迎えます。
さすがに三人目!
痛みは私にも予想は出来ましたが、スピードまでの予測は全くできず。
余裕綽々だった私はどこへやら、
短時間のうちにガンガン強まる痛み、バンバン開いてゆく子宮口。
無駄口を叩く暇も無くなり、
潰れるほど握っているのが、夫の手だとスッカリ忘れていました。
無心で痛みと戦っている頃、
まさかの他の患者さんの予定外の急変!
突然スタッフが慌ただしく小走りになり、人数が減り…。
「このまま分娩室に居たら、産まれてしまう!」
夫は焦りましたが、忙しそうなスタッフに
「退室したいので扉の開け方を教えてください」
と頼めるほど無神経にもなれず。
そうこうしているうちに、分娩を見学する学生さんたちがぞろぞろと入室。
見学の事を伝え忘れていたため、何も聞かされていなかった夫は状況がよく分からないまま、退出のタイミングを完全に失ったそうです。
こうなったらもう、覚悟です。
転がるような出産で、陣痛開始から一時間。
あっという間に産まれてしまいました。
最後まで、私が握る手を離すことはありませんでした。
私は、手だと思わず爪を立てて掴んでいたので、きっと折れるほど痛かったでしょうね。
不本意な立ち合い出産をしたわりに、夫の表情はなんとも晴れ晴れしたものでした。
「見てた」から、出産がスムーズだったわけでも、痛みが軽減されたわけでも無かったけれど、産まれた三女を見つめる夫の柔らかい表情を見ていたら、立ち合い出産も良かったなとその時素直に思えました。
夫は今、よく娘に「将来、看護師さんや、助産師さんになると素敵だよ」と言います。
きっと夫なりに、あの日感じる物があったんでしょうね。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ゆき
年齢:アラフォー
子どもの年齢:13歳・4歳・2歳
福井県の山の中で、ツンデレ三姉妹の母をしています。お洒落にも丁寧にも暮らせない、へっぽこワーキングマザーです。
インスタグラム:u.mamato
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