息子はいわゆる「食わず嫌い」だ。
「食べなれた物こそ好物」の息子にとって食べたことがない料理はチャレンジである。
そして息子は食に対するチャレンジ欲や冒険心がまったくない。
彼にとってワクワクもドキドキも食卓にはいらんのだ。
「安定」ただこれだけを求め、食べなれた物を着実に口に運びたいらしい。
1口食べてまずかったならともかく、うまいかまずいかを、判定すらしてもらえない。
料理を作ったものとしてこれほど虚しいことがあるだろうか。
よほどお腹がすいていたのだろう、息子の口から思いもよらぬ言葉が出た。
これはまたとないチャンスである。
いつもはしかめ面の料理を前に、笑顔になる息子。
そして…
おいしい!!
いただきましたー!!!
母は小躍りした。
今まで幾度となく食卓に並べては、息子の口に運ばれることのなかった物たちが、「キッチンで味見」という非日常がもたらす効果で、おいしく息子の口に運ばれた。
息子の食に対する後ろ向きな姿勢に、そっと背中を押してくれたキッチンでの味見。
こうして食べられるものが2品も増えた息子。心なしか食卓が華やいで見える。
と思い気や…
どうやら魔法が解けてしまったらしい。
こんなことってあるか、と腐りたくなったが、まぁさっき台所で栄養面に関しては補給できたからいいや、と少し前向きになれた母だった。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ユキミ
年齢:30歳
子どもの年齢:3歳
関東出身、関西在住。3歳の息子と夫と3人暮らし。毎日成長ノンストップな息子に産後から振り回されっぱなしの新米母さんです。普段はインスタグラム(yukita_1110)にて息子の成長や日常などを絵日記にしております。
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