ある冬の朝。
息子の幼稚園への迎えのバスを待っているときである。
え!?
秋の間にしこたま拾ったし、もう十分どんぐりに対する思いは満たされておりますでしょ…?
そもそもたかがどんぐり…(ボソッ)
と、思っていた私。
が、そんな浅はかな考えは大間違いである。
たった今、目の前で幼稚園児3人が1つのどんぐりを巡って大争いを繰り広げている。
彼らのどんぐりへの熱い想いは季節が変わろうとも、秋にどんだけ拾おうとも、決して満たされることはないし、ましてや覚めることはない。
むしろ
「冬のどんぐり」
ということがより一層のレア感をプラスしたのだろうか、争いはどんどんヒートアップしてしまった。
息子なんか半泣きである。
どんぐりが原因で!!
これはまずい…。
どんぐりが原因とはいえ、そもそもは私が軽率に
「どんぐりあったで!」
なんてでかい声を出したからである。
この事態の責任は取りたい。
あと2つ…あと2つでいいんだ…!!
見つかってくれ…!!
未だかつて34年間生きてきて、こんなにも祈る気持ちでどんぐりを探したことがあっただろうか。
この時ばかりは、いつも「早く来とくれ」と思う園バスも「まだ…まだ来ないでくれ…!!」と、願うばかりである。
全ては私が幼稚園児のどんぐりに対する熱い想いをみくびっていたために起きたこと。
どんぐりを甘く見ていたから招いた事態である。
そしてどんぐりへ私の熱い想いが通じたのか、なんとか残り2つも見つかった。
と同時に、園バスが見え。
息子たちは私が拾ったどんぐりを手にし、仲良くバスへ乗っていった。
一安心である。
そして息子たちが乗ったバスに手を振りながら、ふと自分の手を見ると…
どえらい泥んこ
である。
言わずもかな、必死にどんぐりを探したためである。
…。
先生、息子を渡す時に私の手を見ただろうか…。
朝からこのお母さんなにしたのかな…とか思っただろうか。
いや…もう過ぎたことだしいいや…。
息子たちが仲良くどんぐりと共に登園できたんだからもういいや…。
朝っぱらからどんぐりに振り回されて疲れ、全てのことがどうでもよくなっていた。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ユキミ
年齢:30歳
子どもの年齢:4歳
関東出身、関西在住。4歳の息子と夫と3人暮らし。毎日成長ノンストップな息子に産後から振り回されっぱなしの新米母さんです。普段はインスタグラム(yukita_1110)にて息子の成長や日常などを絵日記にしております。
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