25歳で結婚。なかなか授からず、待望の妊娠が判明したのは33歳のことでした。
しかし、妊娠後期で「切迫早産」と指摘され入院、絶対安静生活が続きました。
お風呂に入れないし、トイレ以外ベッドを離れられないしで辛かったけど、赤ちゃんに会えることを楽しみに、何とか頑張れました。
お産は想像したより安産で、すんなり生まれてくれました。
生まれたばかりなのに大きな声で一生懸命泣いている小さなわが子が、愛おしくて仕方ありませんでした。
ここまで長かったけど
ようやく、ようやく会えた。
ようやく赤ちゃんに会えたこと、無事出産でき、
大仕事を終えたような安心感からか、涙が止まりませんでした。
しかし、出産はゴールではなくてスタートだったんです…。
母児同室だったので、出産した半日後には授乳、おむつ替えなどのお世話が待っていました。
正直、気も身体も休まるヒマはなし。
特に、授乳は私の乳首の形が悪いからか全然うまくできず、何度くわえさせても赤ちゃんは口からプイッと出してしまいました。
それでも、なんとかやらなければならない、という思いから頻回授乳を頑張っていたところ、乳首の根もとに亀裂が・・・。
「すごく疲れているようだし、次の授乳は一回休みましょうか。」
慣れない頻回授乳にくたくたになっている私を見かねて、助産師さんが赤ちゃんを預かってくれました。
赤ちゃんがいない静かな部屋。
妊娠中は、
赤ちゃんはよく寝てくれて。
おっぱいをいっぱい飲んでくれて。
寝顔を幸せそうに眺める自分の姿をずっと想像していました。
でも、実際は
全然寝てくれなくて
母乳は出ないし、
赤ちゃんはおっぱいを飲んでくれない。
そうして自分は何ひとつうまくできずに、くたくたなのです。
こんなはずじゃなかったのに・・・。
なんでもっと上手にできないんだろう・・・。
私はママ失格なのかな・・・。
いろいろな思いがこみ上げて、悲しい気持ちで天井を眺めていたところに、赤ちゃんを取り上げてくれた年配の助産師さんが来てくれました。
「ちゃんと休めてますか?妊娠中からとっても一生懸命だったから少し心配なんです」
「まだ、始まったばっかり。最初からできる人なんていませんよ。」
「赤ちゃんのためにこんなに一生懸命なのは、すごく立派なママの証拠です。」
そういわれた途端、肩の力が抜けたような気持ちになり、涙が止まらなくなりました。
まだ何も上手にできないけど。
失敗することが多いけど。
あの時私に声をかけてくれた助産師さんのおかげで
私は、今日も「ママ」をしています。
あの時、助産師さんがくれた言葉は、私を救ってくれました。
今同じようなことで悩んでいる方に、
「あなたも、立派なママなんだよ」
そう伝えられたらいいな。