子連れ外食クロニクル(年代記)……
0歳代
おもちゃなどを駆使しても稼げる時間は一時。
ならばと抱っこで歩き、遊ばせ、ミルクを飲ませ離乳食を食べさせ、また抱っこで歩き……寝たところでお店へダイヴ!
安心の瞬間、それが一番危険なタイミング、スリリングな「着席」……。
油断は禁物、揺れ続けろ!止まったら終わりだ……!
水を飲む、その時も細心の注意を怠るな!水滴が頭上に落ちたら……?全てパアだ!!
ま、待て!!なぜ気づく!?食事が運ばれてくるとパッチリ開く瞳……出来立てホカホカの料理を前に、激しく揺れて、再び眠りへと誘うミッション。
1秒が永遠に思える……長い。いつだ。いつになったら、静寂は訪れるのだ……?
健闘むなしく、心は折れる。
「先にゆけ。そして、食べ終わり次第、交代、してく、れ……。」
相棒(夫)と冷めゆく料理を席に残し、店の外に出る。次こそは、と心に誓いながら。
1歳・2歳代
凶暴なモンスターを連れた我々に許されたオアシスは、ファミレスorフードコート。
メニュー選びは俊敏に!このタイムロスが命取りになるのだ。ちょ……っ、だから早く決めろって!相棒(夫)を叱責。
料理が来るまでの時間、アイテム「ミニ絵本」「塗り絵」「シールブック」などを駆使し、空腹で暴れるモンスターの興味を逸らすべし!!
食糧(お子様セット)が来たら、モンスター自らが食べやすいようにセッティングせよ!熱い料理の「ふーふー」を忘れるな、終焉の鐘が鳴る(ギャン泣きする)ぞ……!
よし、今だ!!褒めろ!!「わあ~、フォークとスプーンで上手に食べれるね☆」その調子だ……これを続ければ、自分も同時に食事が取れるようになるのだ!
……、おい、そういえば我々の食事はまだか……?運ばれてこない料理(ファミレス)、鳴らない呼び出し機(フードコート)。減っていくモンスターの食事。ま、まずい!!
やっと来た我々の食事、しかしモンスターは、最後のゼリーをペロリと飲み込んだ。
相棒(夫)が叫ぶ。「やむなし……!!」同時に、最終兵器「スマホ」を手渡す。訪れる静寂。これだ。これを我々は求めていたのだ……!
忍び寄る新たな刺客「あら~、こんな小さい頃から『すまほ』いじるのねぇ!」出た!「スマホニイクジサセルナンテ」おばさんだ!!
「そうなんですよ~、ビックリですよね~」そうだ、笑ってやり過ごすのだ。我々は、これ以上の犠牲を払うべきではない。
現在
5歳になったばかりの男児と、もうすぐ3歳の女児は、かつてモンスターだったのが嘘のように、「座って食事」をするようになった。成長だ。
しかし彼らの要望は多岐に富んでいるため、フィールドは変わらずフードコートやファミレスがほとんどだ。
そして、この戦場で、全てを把握し、ベストな戦略を練る司令官……それが私。
そう、もう肉弾戦をする必要はないのだ。頭脳戦の時代の到来だ。
全てのデータはココ(私の頭の中)に入っている。「よっしゃコレだ!」完璧な計算をし、オーダーする。
結果。
「もうたべられなーい、ママたべて~」
ハイ、戦・略・ミス!!!
残されたギトギトの天ぷらうどん、伸びきったラーメン、ドロドロのアイスクリーム。
私の役割とはなんだ。残飯処理か。私に必要なものは何か。残す勇気か。いや、より強固な、確固たる戦略か……。
「そもそも外食しなきゃよくない?」という囁きに耳をふさぎながら、今日も我々は、食材を買い調理しゴミを処理し洗い物をするめんどくささから逃亡し、オアシスを求め、彷徨うのであった。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
>>>次回のエピソード:怒鳴るより、「無言」の方が効果アリ?子どもへの声かけの理想と限界
著者:うだひろえ
年齢:アラフォー
子どもの年齢:5歳と3歳
マンガ家/イラストレーター。愛知県生まれ。2008年『夢追い夫婦』(KADOKAWA)でコミックエッセイデビュー。『誰も教えてくれないお金の話』(サンクチュアリ出版/監修:泉正人)が30万部を超えるベストセラーに。5歳男児&3歳女児の子育てに奔走する生活を、ツイッターやブログで垂れ 流し中。
website:http://umeyon.net
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