妊娠期、我が家には猫の“チャーリーくん”がいた。
チャーリーくんは結婚前から10年以上オットといっしょに暮らしていたので、
私達夫婦がチャーリーくんを飼っているというより、
オットとチャーリーくん家族に私が迎え入れてもらったという感じだ。
なのでチャーリー的ヒエラルキーでは家族内での私の立場はかなり下に位置する。
あたりまえだけど妊婦でも猫はいたわってくれない。
私がお茶を飲みに立った少しの間にふかふかクッション横取りしたりしてくる。
つわりのせいか、無性に肉球の臭いが嗅ぎたくなった時期があったんだけど
(あらためて思い返して文章にしてみるとかなりどうかしてるが)爪を立てて拒絶してくる。
いけずなのだ。にゃー。
さて妊娠初期、特に年配の方によく言われたのが
「子どもができたなら猫を手放せ」。
妊婦が猫に触れると胎児に影響が出たり、流産や死産になったりするという。
私も妊娠がわかってから、抜け毛とかは気をつけないといけないなとは思っていたけど、それは赤ちゃんが産まれてからの衛生面での心配であって、猫と生活することでの胎児へのリスクについては考えていなかった。
自分なりに調べて、まわりが警告しているのはどうやらトキソプラズマの感染のことらしいことがわかった。
猫から感染する病気で、妊娠中に感染すると、胎盤でつながっている胎児にも感染する場合があるという。
しかしいろいろ調べてわかったのは、トキソプラズマを侮ってはいけないということはもちろんだが、
「妊娠しても猫を手放す必要などない!」ということだった。
重篤な障害を起こす場合もあるが、その確率自体はとても低いということ。
ペットから飼い主の妊婦に感染するのも極めて稀であるということ。
感染したとしても、無症状であるケースが多いということ。
大前提として、チャーリーくんはほとんど外には出ない(出たとしてもウッドデッキどまり)室内飼いで、ネズミや虫を捕獲したりすることもないヘタレなので、本人(猫)が感染している可能性が限りなくゼロに近い。
私も自分で気をつけられることは気をつけようと、猫トイレの処理は妊娠中オットにすべて担当してもらった(糞から感染するおそれがあるので)。
お腹が大きくなるとしゃがむのも大変なのでその意味でもこれはとても助かった。
あとチャーリーくんにチューをしたり、猫耳をはみはみするのもガマンした。
これはチャーリーくんはいつもとても嫌そうな顔をしていたので、チャーリーくんが「助かった」と思っているだろう。
私達夫婦としては、お腹の子はもちろん、全力で守りたいと思っているが、
そのためにチャーリーくんを手放すことは考えられなかったのだ。
妊婦さんの中には、まわりのそういう「善意の忠告」に惑わされて、悩んだり、実際にペットを手放してしまう人もいるかもしれない。
妊娠中、そのストレス自体がよくないと思うのだ。
猫飼い妊婦の周囲の人は、それが心配からくる言葉であったにしろ、無責任に脅すようなことを言うのではなく、正しい知識を得た上で、注意すべきことを教えてあげるに留めてほしい。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:前川さなえ
年齢:35歳
子どもの年齢:9歳と6歳
2003年結婚と同時にフリーのイラストレーターに。 長男妊娠時、お腹が日々大きくなっていくのがうれしくて ブログを始め、現在も奮闘真っ只中の育児ネタを発信!
ブログ/ぷにんぷ妊婦~育児編~
書籍/ぷにんぷかあさん(マイナビ)
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