こんにちは、SeSです。
分娩室に移動するとき、使い捨ての術着みたいなのを装着しました。
部屋には分娩台が二つ、一つは古そうな感じでした。
場合によっては同時に何件かの出産もあるんだろうと思いますが、幸いこの時はうちだけ。
新しい方の分娩台を使いました。
夫が立つ場所は頭の側と決まっていて、カメラなどの撮影は出産の後ということでした。
助産師さんに妻の頭を支えるように言われました。
台の向こう側では助産師さんが絶え間なく何か拭き取って捨ててるのですが、基本的に大きいお腹に隠れてなんだかよく分かんないんですよね。
見られる側からすればこっちのほうが気が楽だろうな、とは思いました。
陣痛が来ていて痛い痛いという妻、こちらは正直別にやることありません。
友人の話では十何時間かかったとかありましたから、これがそんなに続いたらどうしよう…と思っていました。
疲れたからと休みに行っても怒られそうだしね。
お前なんもやってないだろと。
若い助産師さんが付きっきりで、たまに年配の助産師さんが見に来て、そろそろ子宮口が広がってきてるから先生呼んでこようかと。
部屋に入って一時間も経ってないので、たぶん極めて順調のようで。
先生が来て、これはあと二回くらいで出てきますよとのこと。
なんか周期があって、そのタイミングでいきむような感じ、らしい。
そして二回目の波、いよいよ出てきますよ、ちょっと出口広げますよ、とチョキン。
見えないけど怖い!チョキンですよチョキン。
ホントなんで麻酔ないんだろという感じ。この現代に。
何かあった時のため設備はしっかりしてるけど、基本的に原始的な出産と変わりないよなこれ。
そしていよいよ何か出てきました。毛むくじゃらで血みどろのなんか。頭。
顔はどこ?
こっちが髪なら向こうが顔と思ったら、ぎゅるっとまわっても向こうも髪。
顔無いぞ?
ずるっと出てきたらそこは後頭部で、顔は一番最後でした。
ほぎゃあと声も出た。
こんにちはポンちゃん。
ポンちゃんは別の台に移動し、紙みたいなので汚れを拭かれてました。
よく分かんないんですけど必要な成分が付いてるからなのか、産湯は明日とのこと。
口の中にスポイトを入れて胃の中の羊水を吸出し計量。
ヘソの緒をキュッと結ばれてます。
持ち帰り用の切ったばかりのへその緒は半透明でプルプルのゴムみたい。
この後ほかの出産の予定もないということで、先生達は診察の方に行きました。
分娩室に残ったのは三人家族になった我々だけ。
妻は感動で泣くとかでもなく、ただただ終わった、楽になった、今からでも会社に行けそうとピンピンしてます。
僕も感動で泣くこともなく、ただただ目の前の面白い生き物と分娩室を観察して撮影してました。
普段入らないところは全て資料、それが漫画家という生き物。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:SeS
年齢:39歳
子どもの年齢:娘3歳
東京都在中。ゲーム会社勤務後、フリーランスで漫画・イラスト制作 を請け負う。国内外で単行本出版。
noteに四コマ「産んでもいいけど育てない」「産まれたからには育てます」を掲載。会社員妻と自由業夫による男性目線の妊娠・出産・育児漫画として注目される。
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