こんにちは、ユーラシアです。
息子が1歳を過ぎた頃、地元で「泣き相撲」なるイベントが行われることをチラシで知りました。
詳細は地域や主催団体によって違うようですが、要は土俵上で赤ちゃんを泣かせて面白がるイベント……ではなく、子供達の健康を願う神事。一説には400年の歴史があるとも言われる、神聖な儀式だそうです。
でもきっと、お相撲さんに抱っこしてもらったり、他の子と泣き声の大きさを張り合ったり、ご祈祷してもらったり、地域の人達と触れ合ったり……そんなほのぼのイベントなのかと思い、申し込んでみました。
当日は会場となる神社でまわしを付け、紙製の兜を被り、すっかりミニチュア横綱。これがまためちゃくちゃ可愛かったです。
ご祈祷をして貰い、力士達に抱っこされ、いざ土俵に上って、さあ泣けるかな?と思ったところでーー
それまでニコニコしていた力士達の表情が一変。突如「うおおおおおおお!」という地響きのような雄叫びを上げ、子供達を脅しにかかったのです。当然子供達は恐怖に戦き大泣き。 しかし力士達は手加減なしに「うるあああぁぁぁぁ!」と吠え続け、 ついには何故か行司までもが叫び出す始末。成人男性三人に睨みつけられ、震え上がる子供達。
ちょ、ちょっと酷いのでは!? と思いきや、このあんまりな状況を親や観客はゲラゲラ笑って見ていました。はい、私も……。訳も分からず泣かされる子供達は可哀想でしかないのですが、目の前の光景がカオスすぎてもう笑うしかなかったんですよね……。
子供達にとっては災難ですが、決してただショーとして泣かせているわけではなく、 「かつて赤子の泣き声が邪を祓った」という故事に基づき、健やかな成長を願うために行っているんだそうです。
それにしたって怖すぎるだろとも思いますけど。私でも泣きます。たぶん夫も泣く。
私達は「わざと怖い顔をして泣かせている。これはそういう行事だ」ということが分かっていたから呑気に笑えたけど、 子供達はそんなこと知らないわけで、山のように大きな男性に突然吠えられて本当に怖かったでしょうね……。
しばらく泣かせた後、勝敗はつけず「どちらもよく泣いたね!」ということで円満に終わりましたが、子供達は完全にパニックになっていて、土俵をおりた後もしばらく泣き続けました。気の毒すぎます。
横綱の格好して、手形を取って、ご祈祷して貰って、記念品まで頂いて……充実してたね! たくましく育ってほしいね!と 夫と話しながらの帰り道、息子の頬には涙の跡が残っていました。ごめん。
相撲にトラウマを持ってしまうのでは……なんて思ったりもしましたが、現在2歳の息子はテレビで相撲取りを見ると「おすもうさんだー!」と大喜びしているので大丈夫そうです(最近、連日テレビに出てますしね、お相撲さん……)。
ちなみにこの地域での泣き相撲で子供達を抱っこしてくれた力士は、実際には力士ではなく 「力士が好きで力士っぽい体型になった地元の相撲ファンやアマチュア力士」だったそうです。なので髷を結わずフワフワ天然パーマの力士さんもいました。
……ま、まあ雰囲気、雰囲気!
なお、私が参加した泣き相撲は、参加料が1万3千円だったことを付け加えておきます(た、高……)。
著者:ユーラシア
年齢:30代
子どもの年齢:2歳
2015年4月に男児を出産。割とテキトーに育児しているオタクでナマケモノな専業主婦です。思いもよらなかった子供の可愛さ奥深さに驚く毎日の中、老後の楽しみにと育児に関する絵や文章をちまちま描いています。息子はいつも親指を吸っています。
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