それは、産後一ヶ月経ち、床上げも済んだ頃…
実家に身を寄せ、実母に助けられながらも、私は初めての育児に奮闘していました。
>前回エピソード:産後抜け毛 VS 何でも口に入れる5ヶ月ベビーとの戦い。ある晩、目にしたホラー場面 by たんこ
しかし、ここである異変が起こります。
それは…
“昼寝をすると、必ず金縛りに遭う”
というものでした。
娘が寝つき、自分も今のうちに睡眠を取ろうと横になると、まず、激しい耳鳴りが起こります。それは徐々に大きくなり、非常ベルを間近で聞いている様でした。
そして、身体が動かなくなり、何故か『このままでは死んでしまう』という恐怖で頭がいっぱいになります。
目の前では可愛い娘が寝息を立てているのに、何故か死にそうになっている私。
“いやだ。こんなに可愛い娘とやっと出会えたのに、まだ一ヶ月しか触れ合えていないのに、このまま死ぬなんていやだ”
身体も動かず、声も出ない状態ですが、私は必死にそう抗いました。
そして、心でめいっぱい叫んだところで、やっと金縛りが解けます。
これが、毎日のように起こりました。
別に、髪の長い女の人とか、やたら肌の白い子供なんかは見えませんでしたが、死んでしまうというあの感覚は、思い起こすだけで身の毛がよだつような恐怖でした。
しかし、不可解だったのは、何故あのような金縛りが起こるようになったのかです。
今まで特別、不思議な体験もしたことがなく、別に信心深いわけでもありません。確かに、産前に親友や父を立て続けに亡くしはしましたが、彼らが私にこんな怖い思いをさせるとは思えませんでした。
不思議に思いつつも、この金縛りは産後四ヶ月ほどまで続き、気が付くと起きなくなっていました。
そして時は経ち、一歳六ヶ月健診でのこと。
その頃、私は娘の“夜驚症”というハードな夜泣きと格闘しており、その事を先生に相談することにしました。これもまた、何か憑りつかれているのではないか?と心配になるくらいのちょっと怖い夜泣きで、その流れでふと、産後にあった金縛りのことを先生に漏らしました。
すると…
先生曰く、産後の金縛りというものは決して珍しくない現象で、それは産後の寝不足と緊張によるもの、というのです。
確かに、身体は疲れ果てていても、気持ちは不安や緊張で眠れない日々。
それが続くと、“身体は眠って動けないのに、心は目覚めて動こうとしてしまう”という肉体と精神の不一致から、金縛りのような現象が起こってしまうそうです。
確かに、当時は夜泣きもまだ頻繁な中、娘の呼吸が止まっていないか?顔色は悪くないか?という心配は尽きず、昼寝も満足に出来ない日々。まさに、肉体と精神の不一致が起きてもおかしくない状態でした。
こうして、私の金縛り騒動は、産後の疲労と緊張感によるもの、ということで落ち着いたのですが……同じく寝不足と不安の続いた二人目の時には、何故か同じような現象は起こりませんでした。
もしかしてもしかしたら、本当に何か不思議な力が働いていたのかもしれません。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
>次回エピソード:母乳を拒否する赤ちゃんと必死に頑張っていたのに…。看護師からの言葉に悔し涙がでた夜 by たんこ
著者:たんこ
年齢:31歳
子どもの年齢:4歳と0歳
発達ゆっくりさんな娘と能天気な夫と、新たに加わった暴れん坊な息子と暮らす、元ひきこもりの凶暴な大根です。
instagram:@kei_mio
twitter:@mio_tanko
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