臨月あたりの妊婦はよく歩けというけれど…。
妊娠8カ月目。仕事をしながらどうにか乗り切り、産前8週目から産休に入ると、ひとまず通勤と労働から解放されて、一息つけるなあ、と思いきや、お腹はどんどん大きくなり苦しさは増すばかり。
重くて仰向けでは寝られないし、ずっと同じ向きで寝ていても疲れるので反対側を向こうとしても、寝返りを打つだけで一苦労…。
おまけに内臓が肥大化した子宮に圧迫されて心肺機能が低下しているのか、動悸息切れも酷い。
「臨月あたりの妊婦はよく歩くべし」と聞くけれども、10分歩いただけで息切れ。子宮に圧迫されて膀胱の容量も少なくなっているから、30分も経つとトイレに行きたくなるし、とてもじゃないけど散歩になりません。
足が地面にめりこみそうなほどに体が重く、すぐに座りたくなるので、道行くおばあちゃんが使っている椅子つきの手押し車を見ながら、「いいなー」と羨ましく思っていました。
知らない人の親切が身に染みた臨月の頃
これだけお腹が大きくなってくると、電車に乗れば席を譲られるし、スーパーへ買い物に行けば、レジの方が会計済みのカゴをサッカー台まで運んでくれるし、何かと親切にされる立場になったことを実感。
階段の上り下りにも必ず手すりにつかまらないと不安だったし、道を歩いていても、「いま自転車が突っ込んできたら避けられないな……」と怖くなったり。つまり、「妊婦の自分は、弱者なのであるな」と痛感しました。
妊娠するまでは、体も健康で自分のことが自分でできて働くこともできているから、自分が弱者の側であると感じたことはなかったのですが、臨月の妊婦、これはかなり弱者なのです。
10分歩いただけでこんなに動悸息切れしていては、いま大災害が起きても自力ではとても逃げられない。逃げるどころか、腹がつっかえて靴の紐も結べない、それが臨月の妊婦……! 知らない方の親切が身にしみた期間でした。
氷が食べたくなった理由に納得
余談ですがこの時期面白かったのは、無性に氷が食べたくなって、毎日氷をガリガリ噛んでいたことです。調べてみるとどうも貧血になると氷を食べたくなるものらしく、確かに健診の血液検査で貧血と言われて鉄剤を出されたりしていました。
血液検査の数値が改善されても、氷食べたい欲求はおさまらず、いつでも口の中が熱いような渇いたような感じになっており、どこにいくにも、陣痛がきて入院するときでさえ、氷を詰めた水筒を持って歩いておりました。妊婦の体は摩訶不思議です……!