走っちゃダメ! そっち行っちゃダメ! 騒いじゃダメ!
息子のヒルマは、何度注意しても言うことをきかない子でした。
1歳を過ぎて歩きが上達すると、右に左に前に後ろに、手当たり次第に突き進んでいきました。手をつなぐのも嫌がって振りほどくので、この子はいつか車にひかれるのではとハラハラしました。
なんとしても、しつけなければ。そんな心意気で「してはダメなこと」をきびしく注意してきましたが、まったくダメ。注意されたそのときは動きが止まるのですが、それはわたしの大声にびっくりして固まっただけ。怒られた理由などはわかっていません。
「ヒルマくんは『ダメ』という意味がわかっていないのかもしれません」
2歳半で通い始めた療育で、先生からそう言われました。
必要なのは「してほしい行動を教える」ことでした。
子どもが騒がしいとき、大人はつい「うるさい」と一喝してしまいます。だからどうすればいいのか、丁寧に教えてくれることはまずないでしょう。うるさいと言われたら静かにする。静かにするということは小さな声で話したり、走り回るのをやめたりすればいいのだけれど、発達障害のヒルマには、その点がとくにわかりにくいようです。
それまでは外出時に走り出したときなど「走っちゃダメ!」と声を荒げていましたが、「ここでは歩きます」と教えるようにしました。
騒がしいときは、その場を静かにできる提案をします。
「座って絵本を読もう」とか、「となりの部屋で遊ぼう」など、周りの迷惑にならない場所に誘ってみたりします。
「○○しなさい」と命令するのではなく、「○○しようね」と肯定的に誘うことで、落ち着いて聞き入れてくれるようになりました。
ダメなことより、してほしい行動を教えることで、叱る回数は激減しました。
そしてそもそも、子どもを叱らなければならないであろう場所に、わざわざ連れて行かないことも、ヒルマの場合は重要なポイントだったと思うのです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
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